世界滅亡に備えて。屈強なデジタルデータの保管施設にオープンソースコードが新たに保存される(スバールバル諸島)


 隕石の衝突か、気候変動か、核戦争か、ゾンビの襲来か。それがいつ起きるかはわからないが、この世界が突然滅亡する可能性は否定できない。


 来るべき終末の日に備えて、水面下では粛々とその準備が進められている。世界の終わりを生き延びることができた生存者に望みを託し、地球再建に必要なものがあらゆる危機に耐えうるように設計された貯蔵庫にストックされている。

 例えばスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、地球上に存在するありとあらゆる植物の種子を保存する施設で、世界各地での地域的絶滅があった際には栽培再開の機会を提供することを目的としている。

 だが人類が守るべきものは他にもある。歴史的、科学的に貴重な文献だ。更にデジタル時代の英知ともいうべきソースコードである。
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GitHub Arctic Code Vault

【あらゆる危機に耐えうる屈強なデジタルデータ保管所】

 2017年3月27日、永久凍土に包まれたノルウェーのスヴァールバル諸島に開設された「アークティック・ワールド・アーカイブ(Arctic World Archive)」は、いつか来るであろう終末の日に備えて、世界中のデジタル遺産や貴重なデータを守るために開設された、デジタルデータの保管所である。

 それはスヴァールバル世界種子貯蔵庫の近くにある。

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 スヴァールバル諸島は42ヶ国によって非武装地帯として宣言されており、さらに北極圏ならではの低温環境が相まって、データを保管するには理想的な環境となっている。

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 廃坑内に作られた「グローバル・シード・ボールト」は地下150mの深さにあり、核シェルター並の堅牢さを誇ると言われている。

 その中に耐用年数500年のデジタルフィルムの形でデータが保存されている。収集したデータは改ざんや不正アクセスから守るため、ネットワークには接続されない。


 そこには学術論文から文学作品に至るまで、世界のあらゆる文献のデジタルデータが保管されており、中にはバチカンの記録なんてものまであるそうだ
 
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【GitHub社がオープンソース・コードの保管を発表】

 そしてこのほど、ソフトウェア開発のプラットフォームで、ソースコードをホスティングするGitHub(ギットハブ)社が、アークティック・ワールド・アーカイブに全GitHubのオープンソース・コードを保存することを発表した。

 GitHubはソフトウェア開発のプラットフォームであり、世界に2400万人のユーザーがいる開発者に欠かすことのできないツールだ。

 またそれを管理するGitHub社は、2018年におよそ8200億円でマイクロソフト社に買収されている。

 この英断のおかげで、いつの日か世界が滅んだとしても、生存者はそのオープンソース・コードを利用することができる。

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【生存者に託すオープンソース・コード】

 オープンソース・コミュニティは科学技術理想主義的な傍流として無視されることもあるが、私たちが日々利用しているデジタルアーキテクチャの多くが一般公開されたオープンソース・コードに属するものだ。

 何しろグーグル、アマゾン、フェイスブックといった人々が日々お世話になっているだろうサービスも、オープンソース・コードを利用しているくらいだ。

 GitHub社のこうした動きは、やもすると大袈裟で無意味な行為にも思えてくる。

 しかし、それが真価を発揮するのは世界が滅亡したときだろう。願わくばその日がこないことを祈るばかりだ。

References:Futurism / Science alert / written by usagi / edited by parumo

記事全文はこちら:世界滅亡に備えて。屈強なデジタルデータの保管施設にオープンソースコードが新たに保存される(スバールバル諸島) http://karapaia.com/archives/52284864.html
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