犬は人間と同じ脳の領域を使って数字を処理できることが判明(米研究)


 これまでの研究から、個体差もあるが、犬は4~5までの数字を数えられることがわかっている。では犬はどのように数を処理しているのだろう?

 それを知るために、アメリカ・エモリー大学の研究グループは、訓練されていない11匹のイヌの脳をスキャンしてみることにした。
イヌにさまざまな並びの点を見せ、fMRIで脳がどのように活動しているのかを調べるのだ。

 『Biology Letters』(12月18日付)に掲載された研究によれば、犬は人間と同じ脳の領域を使い数を処理していることがわかった。犬は少なくとも人間の赤ちゃんや霊長類くらいと同じくらい算数ができるらしい。
【犬も人間の脳と同じ領域が活性化していた】

 我々ホモ・サピエンスを含む霊長類は、「近似数認知機構(approximate number system)」なる仕組みによって数を推定している。そしてどうやら、犬も同じ仕組みで数を理解していたようだ。

 研究から明らかになったのは、点を見つめているイヌの脳内では、「頭頂側頭皮質(parieto temporal cortex)」という部分が活発になっているということだ。人間が基本的な数を数えるときに使われるのと同じ領域である。 

 ポイントだったのは、点と点が並んでいる距離だ。横に並ぶふたつの点があったとすると、それらが近くまとまっているよりも、離れている方がイヌたちの脳は活発になった。

 また、そうした基本的な数を数える力は生まれつきのものであると推測される。つまり特に訓練を受けていなくても、犬ならば数を数えられるということだ。

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【動物の進化に深く根差した計算能力】

 犬の数を数える能力についてはこれ以外にも研究がある。
たとえば2002年に発表された研究では、おやつを使って、「1 + 1 = 2」「 1 + 1 = 1」「 1 + 1 = 3」の3問を解いてもらうという実験を行った。

 驚いたことに、式から予測されるものと違う答えが書かれていた場合(つまり 「1 + 1 = 1」と「 1 + 1 = 3」)、犬は式を長く見つめたのである。つまり犬は式から導かれる答えを予測していたということだ。

 どうやら動物界では、小さな数を数える能力ならそれなりに広く普及しているようだ。そうした力は、「おそらくは狩猟や捕食において役割を果たして」おり、「進化の時間を超えてしっかりと保全されてきた」ものらしい。

 こうした動物と人間の認知のつながりを調べることで、人間の進化や脳の発達について新たな手がかりを得られるかもしれないそうだ。

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Dogs process numerical quantities in similar brain region as humans
References:Dogs process numerical quantities in similar brain region as humans - Neuroscience News/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:犬は人間と同じ脳の領域を使って数字を処理できることが判明(米研究) http://karapaia.com/archives/52285795.html
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