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もし宇宙人に遭遇したら、口で呼吸する必要がありそうだ。地球外生命は魚が腐ったような臭いがしている可能性があるという。
新たなる研究では、ある化合物が地球外生命の存在を示すサインとして提唱されている。その化合物が人間の苦手とする嫌な臭いなのだそうだ。
【遠方の惑星に生命が存在したとして、それをどのように知るのか?】
太陽系外惑星が最初に発見されたとき、そこに生命は存在するか? という疑問に答えるために、ごくシンプルな基準が設けられた。
すなわち、その惑星は「どのくらいの大きさか?」「どのくらい熱いのか?」「液体の水が存在しうるか?」、そして「岩石惑星か、それともガス惑星か?」という基準だ。
今日では、遠方の惑星に生命がいるかどうかを調べる方法はもう少し洗練されている。太陽系外惑星の大気を分析して、そこに生物の存在を示すサインがないか探すのだ。
酸素やメタンのような生命に関連する気体が存在すれば、そこに地球外生命が存在すると推測することができる。とは言っても、それらは生命以外によっても作られることがあるために、絶対に存在すると断言することまではできない。
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【地球外生命は腐った魚の臭いがする?】
そうした生命のサインとしてマサチューセッツ工科大学(MIT)のクララ・スーザ・シルヴァ氏らが提唱しているのが「ホスフィン」という、ちょっと変わり種の化合物だ。
ホスフィンは、リン原子1つと水素原子3つで構成されており、常温では無色可燃性の有毒な気体で、ついでに魚が腐ったような臭いがする。
変わり種と述べたのは、地球上にいるほとんどの生物がホスフィンと関係していないからだ。これが見られるのは主に、悪臭を放つ沼地やペンギンのフン、あるいはアナグマの腸なのである。
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【地球の環境では微生物にしか作り出すことができない】
ホスフィンが面白いのは、分子をまとめるのがやたらと大変なために、なかなか作り出せないという点だ。地球でならば、酸素を嫌い極限環境で生きる嫌気性細菌がこれを作り出す。
しかし宇宙では、木星や土星の大気に含まれる微量ガスとして存在する。作り出しているのは、大気奥深くに秘められた膨大なエネルギーで、巨大嵐によって上部へと吹き上げられている。
シルヴァ氏が1万6000もの生命のサイン候補となる化学物質を調べた結果明らかになったのは、地球のような惑星の環境でホスフィンを作ることができるのは、細菌の類しかいないということだ。
地球に似た条件では、雷だろうと、大陸プレートだろうと、これっぽっちも作られない。生命によってしか作られないのだ。
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【次世代望遠鏡が検出してくれるかも!】
そして仮に太陽系外惑星の大気に地球と同じ割合でホスフィンが存在し、かつそれが地球から16光年の範囲内にあれば、次世代望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡クラスの望遠鏡ならそのスペクトルを検出できるだろうというのだ。
つまりそれが生命の存在を示すサインとなる。
「この地球では酸素が生命のサインです。でも生命以外によっても酸素は作り出されます。ですから、そう簡単には作られないもっと珍しい分子を探すことが大切です。
もし、それが別の惑星で見つかったのなら、答えはひとつしかありません」とシルヴァ氏は説明する。
この研究は『Astrobiology』(11月22日付)に掲載された。
References:Extraterrestrials may be a bit smelly/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:地球外生命は魚が腐ったような臭いがする可能性(米研究) http://karapaia.com/archives/52285928.html
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