完全犯罪か?未解決事件ファイル、密室で謎の死を遂げたイシドール・フィンクの謎


 世界大恐慌が始まった1929年、アメリカ・ニューヨーク州のハーレムで、クリーニング屋の店主、イシドール・フィンクが、自宅アパートで襲われた。

 彼は胸を2ヶ所、手首を1ヶ所撃たれ死亡していたが、ドアや窓は内側からロックされていた。
この密室殺人事件の犯人は今だに不明である。

 その動機はもちろんのこと、どうやって犯行が行われたのか、まったくわかっておらず、もっとも有名な未解決事件の1つとなっている。
【ロックされた部屋で起きた殺人事件】

 1929年3月9日、午後10時半、フィンクの隣人のロックリン・スミスは、隣の部屋で争うような音を聞きつけ、慌ててかけつけた。

 ドアや窓は内側からロックされていて中に入ることはできなかったが、正面ドアの上の明かり採り窓だけは蝶番が壊れていて開いていた。警官が駆けつけ、小さな男の子にこの明かり採り窓から中へ入らせて、内側から鍵を開けさせた。

 家の中にはフィンクの死体があった。左手を1発、胸を2発撃たれていた。

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 この界隈はニューヨークでも治安の悪いところで、フィンクは強盗を怖れて、常にドアにも窓にも鍵をかけていた。見知らぬ者は家にも店にも入れなかった。

 大家のマックス・シュワルツによると、フィンクは模範的な店子で、問題を起こすこともなかったようだ。敵もなく、女性を連れ込むこともなかったという。殺される動機も見当たらず、警察もお手上げだった。


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【金品は盗まれていない。薬莢や凶器も見当たらない】

 強盗の痕跡がなかったことも、さらに事件を混乱させた。フィンクは常に現金を手元においていたが、店の金も含め、すべて手つかずのままだった。

 さらに、いくら探しても凶器や空の薬莢が見つからない。部屋はまったく整然としていて、襲撃者がなにかを探しまわって、物をひっくり返して荒らしたような痕跡もまるでなかった。

【動機も殺害方法も不明】

 ニューヨークでは、ギャングが小さな店からみかじめ料を強要することは日常茶飯事だった。しかし、フィンクが金を強要されていた証拠は見つからなかった。彼がギャングにつきまとわれているのを見たという者もいなかった。

 この殺人には動機が見当たらず、殺害方法もまるでわからない。

 現場に銃はなかったので、自殺説は除外された。手の銃創には火薬による火傷が見られ、フィンクが至近距離で撃たれたことがわかるが、ドアや窓はすべてロックされていた。

 唯一、開いていた明かり採り窓は小さすぎて大人にはとても通り抜けることはできない。
現場に残されていた指紋は、すべてフィンクのものばかりだった。

 この事件は、殺人の動機が見つからないだけでなく、純粋に論理的な観点から、殺害を実行することができた容疑者がひとりもいない難事件のひとつで、つまり、完全犯罪ということになるのだろうか。

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THE 1929 LOCKED ROOM (ISIDORE FINK MURDER MYSTERY)
References:A Perfect Murder: The Impossible Death of Isidor Fink/ written by konohazuku / edited by parumo

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