ヒラヒラ優雅に、そして悠々と熱帯の海を泳ぐ海洋生物マンタ。大きいものでは体の横幅が8メートル、体重3トンに達するものもいるという。
今回、オーストラリアのグレート・バリア・リーフ最南端で、海洋写真家により撮影されたピンク色のマンタ(オニイトマキエイ)が「世界で唯一の可能性」とされており、話題になっている。
ピンク色の生物については、過去にもカラパイアで伝えてきたが、このマンタもなかなかのピンク加減で、オスのようだが乙女感たっぷりなのだ。
【2015年に初めて目撃されピンク色のマンタ】
フィンランド人の海洋写真家クリスチャン・レインさんは、今回ピンク色のオスのナンヨウマンタの撮影に成功し、その写真を自身のInstagramでシェアした。
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横幅約7メートル近く、体長3.4メートルほど、そして体重およそ2トンあるとされるこのピンク色のマンタが目撃されたのは、実は今回が初めてではないそうだ。
最初の目撃は2015年だったが、それ以降8~10回ほどしか目撃されていない。
綺麗なパステルピンク色のマンタは、生物学者らに映画『ピンク・パンサー』に出てくるキャラクターにちなんで「クルーゾー警部」というニックネームで呼ばれているようだ。
今回、サンゴ礁が美しく広がるクイーンズランド州のレディーエリオット島で目撃されたクルーゾー警部ことピンク色マンタは、世界で唯一の可能性が高いと言われている。
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【ピンク色の原因は稀な遺伝子変異の可能性?】
クルーゾー警部が目撃された回数は非常に少ないが、生物学者らは、なぜピンク色なのかをずっと調査してきた。
通常、マンタはジンベイザメのように歯がないため、オキアミやプランクトンを主食にしている。
しかしクルーゾー警部については、甲殻類を主食にしていてフラミンゴ同様に食生活の影響でピンク色に変色したのかもしれない、もしくは皮膚の病気ではないかと推測されていた。
そこで、2016年に皮膚サンプルを採取し生体検査を行ったところ、そのどちらが原因でもないことが明らかになった。
【通常のマンタの色は黒か白、白黒の3パターン】
ナンヨウマンタは、通常全身が真っ黒か真っ白、もしくは白黒という3パターンに分類されるが、白黒パターンが最も一般的だそうだ。
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周囲の環境とうまく調和して捕食を回避するため、光線のさす背中部分は黒く、腹部分が白い状態になっているという。
現在の調査では、クルーゾー警部のピンク色の原因は、正常な色素が欠乏した非常に稀な遺伝的変異「エリスリズム(erythrism)」の可能性が高いと言われているが、はっきりとは確定されていない。
「エリスリズム」というメラニンを発現させる遺伝子変異は、髪や皮膚、羽根や卵の殻などがピンク色または赤みを帯びた色になる。今や一般的に認知されているアルビノ(白皮症)は、同様の現象だ。
クルーゾー警部の姿はあまりにも珍しいピンク色で、写真を見るとまるでCGのように見えなくもないが、既に「プロジェクト・マンタ」で研究を何年も続けている科学者らは。このピンクのマンタは間違いなく本物であると述べている。
【貴重な撮影に成功し、写真家喜ぶ】
貴重な写真撮影に成功したクリスチャンさんは、生物学者らにとって地元セレブのような存在のクルーゾー警部に運よく出会えたことに喜びを露わにした。
世界で唯一かもしれないとされるピンク色のマンタを触れられるほどの近距離で撮影できたことは、本当に光栄でした。
20~30分ほど、一緒に泳ぎました。撮影中、目の位置が同じところまで来ると、微笑みかけられたようにさえ感じてしまいました。
私にとって、クルーゾー警部との出会いは忘れられないものになりました。
クリスチャンさんのInstagramには、「すごい!本当にピンクなんだ。
感激」「わぁ!ピンク色が綺麗。撮影できてラッキーだね」「これは嬉しいサプライズ」「美しすぎる」といった感激の声がユーザーらから寄せられている。
References:Zme Scienceなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:驚くほどピンク!世界で唯一の個体かもしれない、ピンク色のマンタの生息が確認される(オーストラリア) http://karapaia.com/archives/52287891.html