
image by:amusingplanet
かつて、世界の地図作成者たちは、自分が作った地図によく見ないとわからないくらいの小さないたずらをわざと施していたようだ。
存在しない通り、架空の町や騙し絵などを、作成者以外にはすぐに判別できないようこっそり紛れ込ませたのだ。
不正な複製をさせない著作権保護という目的もあったが、作成者自身が楽しんでやっている場合もあった。
最近、Eye On Designのサイトに掲載された話は、スイスの公式地図の中に小さないたずら書きを隠す、地図作成者たちの知られざる伝統に光を当てている。
【何十年もの間気づかれなかったスイス地図の騙し絵】
こうした地図の中には、目をこらしてみなければほとんどわからないくらいのクモや魚が描き込まれていたり、横たわる裸婦が水の流れに擬態していたり、マーモットが丘に溶け込んでいたりする。
このような異色のイラストは、スイスの山岳地帯を表わす等高線の合間に実に巧妙に紛れ込んでいる。都会の人口密集地ではないので、じっくり見られることがないせいか、長い間、やり過ごされてきた。
地図の作成はそれは細かい作業で、こうしたいたずら書きの多くは、作成者の単調な日常を打破するために必要なコーピング機構(環境のストレスに対して、自ら対処、克服しようとする適応機構)の一部として役立ってきた。
きっと、たまたま仕事がはかどらない日に、嫌気がさした作成者がふと思い立って、地図に絵を描き込もうと思ったのだろう。
それから約半世紀後の2012年、地図の中の女性の騙し絵が初めて発見された。
[画像を見る]
アイガーの氷原の上のクモはほとんど消えかかっていたが、10年後に校正者が発見した。
[画像を見る]
魚は、スイス国境に沿ったフランスの自然保護区にある湖に隠れていたため、1989年まで発見されなかった。
[画像を見る]
最新の発見は、スイスアルプスのありふれた風景の中に隠れていたマーモットだ。「マーモットのずんぐりした輪郭は、氷河の上にある繊細な起伏線の陰影に隠れていて、5年近くも発見されなかったのです」ゾーイ・ポールは、Eye On Designに書いている。
「山のけば(地図上で傾斜や方位を示す平行線)は、マーモットの毛並みを表わすように二重になっていて、顔や、尾、手足以外は、まわりの岩とほとんど区別がつきません」
[画像を見る]
残念ながら、このマーモットは、地図の次の版が出るときには消されてしまうだろう。こうしたいたずら書きはいったん見つけられたら、次に更新するときに削除される。存在がわかった半分以上のイラストが、このようにして姿を消すのだ。
「地図には、独創性を入れ込む余地はありません」スイスの公式地図を作っている機関スイストポの広報は説明する。
このように、地図にちょっとしたいたずらを施すのはスイスだけではない。イギリスの地図作成者も、ワイト島の地図の南海岸に沿った崖の波線の中に、こっそり人の名前を入れたことがわかっている。
[画像を見る]
References:amusingplanet/ written by konohazuku / edited by parumo
記事全文はこちら:地図製作者の遊び心。スイスの公式地図に隠された騙し絵 http://karapaia.com/archives/52288359.html
編集部おすすめ