自分を悩ませる人の存在は、自分の「投影」である

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 家族間で言い争いが勃発し、それぞれの意見が分かれることはどの家庭でも起こり得ることだ。しかし、「家族メンバーで、誰が一番あなたを悩ませているか」という調査によると、最も喧嘩になりやすい相手同士は特に母親と子供なのだそうだ。


 母親は、自身の性格や態度が我が子に反映されているのが見えるからこそ、余計に自分の子供の態度を受け入れようとしなかったり、正そうとしたりすることがよくあるという。そして子供へのコントロールに失敗し、逆に激しい争いに繋がる可能性が多いというのだ。
【心理学における「投影」と呼ばれる心の働きとは?】

 心理学研究では、自分を怒らせる子供は、実は自分自身に非常に似ているからとされている。

 実は、親は周りの誰よりも我が子とより一層複雑な関係を築いており、それは「投影(Projection)」による影響が大きいと心理学者は説いている。

 「投影」とは、人間が持つ防衛メカニズムであり、自分自身が容認できない心の中の欲求など感情や思考、態度を無意識のうちに他者へと投げ入れることよって、それらを他者に転嫁してしまう心の働きのことを意味する。

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 自分のネガティブな側面に責任を負わずに、欲求や様々な感情を相手に投げかけると、それをされた相手は不安やストレスを引き起こし、物事の改善や克服を妨げる結果になってしまう。

 これが母子間で起こる場合、自身を受け入れるという現実に直面するよりも、感情を我が子に移動させ、怒りを感じた方が楽だと思う母親も中にはいるようだ。

【子供たちは親の行動を真似る】

 子供の多くは親の性格を受け継ぎ、それが態度にも現れる。子供たちは、幼い頃から親が様々な状況でどのように行動するかを観察している。

 特に思春期に子供の人格が確立され始めると、子供らは話し方から反応し方まで両親の行動を取り入れるようになる。

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 それはある意味、両親の気分でさえ子供の感情的な発達に影響を与える可能性があるということだ。

 誰しも、人生を通して過去を回顧した時、自分が下した決断の一部や困難な状況への反応の仕方に満足できず、それを変えたいと思う傾向にある。


 しかし、自分が親になった時に我が子が同じ過ちを犯していることを知ると、自動的に正そうとし、子供が成長しても自身を子供に投影して子供をコントロールしようとする。

 そんな親は、子供の態度に自分との共通点を重ね、より一層子供に悩むことになってしまうようだ。

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【悩んでいる現状を解決する方法】

 心理学者は、親は自身の内部紛争をまず特定して解決し、その後子供を正すよう努めるべきだとアドバイスしている。

 心理学において、自我認識の適切なバランスを保つには、「投影」と「取り入れ」が大切だと言われる。

 「取り入れ」とは、他者が持っている価値観や感情をそのまま自分自身のものとして受け入れることにより、自身の人格や価値観を補強したり、外部との価値観や感情の衝突を回避したりする心の働きのことだ。

 つまりは、親は子供に対して「自分には所属していない」ということを受け入れなければならない。そして投影することなく、子供がミスをしてもそれを人生の学習体験として受け入れさせ、自分で決断を下すよう促すことが大切だ。

 以下が心理学者からのアドバイスだ。

・問題が起こっても、相手を責める前に客観視しよう。判断を下す前に互いの立場を考えてみよう。

・子供への対応方法や声のトーン、話しかける言葉を自分でしっかりと認識しよう。

・子供があなたのアドバイスを聞き流したり、顔をしかめたりしたのを見て、あなた自身も同じように反応していることに気付こう。


・感情をコントロールするようにしよう。落ちついていればいるほど、相手には伝わりやすい。しかし動揺が激しいと、子供はそれを反映し、あなたと似たような態度を取ってしまう。

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【悩ませているものを受け入れることを学ぶ】

 子供に対してだけではなく、自身の在り方として見つめてみることも大切だと心理学者は説いている。それらのアドバイスとしては次の通り。

・自分を受け入れ、変えられないものがあることを認識するべき。改善できない側面は過去に置いておく。前に進むことに焦点を合わせて生きよう。

・他人を評価することはできない。全ての人間が平等であるとは限らず、違いに耐えることを学ぶ必要があるということを理解しよう。

・1日数分だけでも瞑想する時間を持とう。これにより、自分の好きな側面と改善したい側面を区別できる。


・素直になろう。長所と短所をさらけ出そう。結局のところ良い面も悪い面も、あなたの人間としての本質なのだから。

References:/brightside.meなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:自分を悩ませる人の存在は、自分の「投影」である http://karapaia.com/archives/52288361.html
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