タコの触手そっくり!にゅるりと巻き付いて物をつかむグリッパーが開発される


 タコの体に備わった神経細胞は、その3分の2までが腕に集中している。にょろりと動く8本の触手には、文字通りそれぞれの心が宿っているのだ。


 賢い腕には無数の吸盤が並んでいる。潮の流れに荒らされた表面にもぴったりと吸い付く優れものだ。そんな腕を駆使することで、タコは結び目を解いたり、ボトルのキャップを開けたり、あるいはどんな形のエモノにでもぐるりと巻きついて自由を奪うことができる。

 この魅惑の触手にインスパイアされて開発されたのが、ソフトグリッパーだ。小さなクトゥルフを操っているようでなんだか楽しいぞ。
【タコの触手にインスパイアされたソフトグリッパー】

 米ハーバード大学工科・応用科学部(SEAS)と中国、北京航空航天大学の研究グループが開発したソフトロボットグリッパーは、ご覧の通り、タコの触手にインスパイアされたものだ。

 柔軟で、吸盤が並んだそのデザインは、どこからどう見てもタコの触手で、本物のタコと同じく、物体の形状・質感・大きさに関わらず、何でもつかむことができる。

 コンパクトなiPhoneだって、複雑な形状の生きたままのカニだって、巻きつくことができない大きなエクササイズボールだって、しっかり持ち上げてみせる。

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Octopus-inspired soft robot

【タコの触手を研究し、最適なデザインを考案】

 研究グループによると、これまでもタコの構造を真似したロボットはあったらしいのだが、それは触手の動きか吸盤かどちらかだけを再現したもので、今回のグリッパーのように両方の特徴を兼ね備えたものはなかったのだとか。

 研究グループは、先端ほど細くなっているタコの触手の角度を調査し、巻きついて物をつかむために一番いいデザインを数値化。さらに吸盤の配置と構造も調べ、それをグリッパーに組み込んだ。

 この技術を採用して市販向けに開発されたプロトタイプが、Festo社の「テンタクル・グリッパー(Tentacle Gripper)」だ。


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【たった2つのバルブの制御だけで、さまざまな物体をつかんで離さない】

 テンタクル・グリッパーは2つのバルブで制御されているという。1つは、圧力を加えて触手を曲げるためのもの、もう1つは吸盤を真空にしてピタッと吸い付くためのものだ。

 本物のタコに比べればずいぶんシンプルな構造だ。それでも、普通なら複数のグリッパーが必要になるところを、小さな1本のグリッパーだけでさまざまな物体をつかむ性能が実現されている。

 圧力と真空を巧みに変化させることで、どんなものにでも巻きついて、つかんだり、はなしたりできる。薄っぺらいシートや壊れやすい卵だって何でもござれだ。

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 素晴らしい性能は、みんなの心もキュッとつかんで離さないことだろう。この研究は『Soft Robotics』(2月25日付)に掲載された。

References:harvard./ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:タコの触手そっくり!にゅるりと巻き付いて物をつかむグリッパーが開発される http://karapaia.com/archives/52288502.html
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