世界最古の剣の1つ、5000年前のアナトリアの剣が発見される(イタリア)


 古来、北を黒海、西をエーゲ海、南を地中海にはさまれ、東にアルメニア、メソポタミア、シリア地方につながる地域の総称(現在のトルコ共和国のアジア側の半島部)「アナトリア(小アジア)」の兵器の1つとされる5000年前の剣が、イタリアのサン・ラザロ島メキタル会修道院の展示キャビネットで発見された。

 科学的研究によると、この剣は紀元前3000年頃のものと判明。
つまり世界最古の剣の1つである可能性が高いということだ。
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The Bronze Age of Anatolia - The Rise and Collapse of Hittites

【修道院の展示キャビネットから世界最古の剣発見】

 古代近東の剣の起源と進化についての研究で修士号を取得しているヴィットーリア・ダルアルメリーナさんは、イタリアのサン・ラザロ島メキタル会修道院を訪問し、中世の遺物のキャビネットを調べていた際、アナトリア兵器の1つとされる古い剣を発見した。

 その剣は、アルスラーンテペ王宮(東アナトリア)で見つかった剣に似ており、中世と誤って特定されているものだった。

 そこで科学的研究を進めてみると、その剣が紀元前3000年頃のものであることが判明。

 つまりは、世界最古の剣の1つである可能性が高いという。

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【装飾されていない剣を科学的分析】

 イタリアのパドヴァ大学および考古学、歴史的・芸術的遺産の研究・保存のためのセンターCIBAとの共同で、この剣の金属組成の分析が行われた。

 最新の微量元素の分析の研究では、金属の正確な発生源を更に特定可能にすることができたようだ。

 このタイプの剣は、ユーフラテス川の上流と黒海南岸の間の東部アナトリアの比較的小さな地域で、一般的に使用されていたことが判明した。

 剣は、一部のアルスラーンテペの標本とは対照的に、装飾されていない。目に見える碑文や装飾、または特徴的な印は何もなかったという。加えて保存条件が最適ではなかったために、使用の痕跡を検出することはできなかったそうだ。

【最もあり得る仮説は墓財の一部か】

 研究の結果としては、この剣は実際に戦闘で使用された兵器か、儀式用の剣、もしくは墓財の一部だった可能性が示唆されている。


 その中でも最もあり得るのが、この剣が地元の町民らによって時々掘り起こされていた埋葬品の一部だったのではないかという仮説だ。

 アナトリア人とコーカサス人の埋葬が武器と宝石を備えた豪華な墓品で飾られ始めた時期に鍛造されていることから、この剣は当時戦士を称える印として墓財の1つに使用されていたかもしれないというのだ。

 この剣についての真の物語はいまだ謎に包まれている。学者らは、今ついにそれに光を当て始めたばかりと言えるだろう。

References:heritagedaily.comなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:世界最古の剣の1つ、5000年前のアナトリアの剣が発見される(イタリア) http://karapaia.com/archives/52288541.html
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