訴訟大国とはいうものの...マクドナルドにまつわる6つの奇妙な訴訟(アメリカ)


 アメリカのカリフォルニア州で1940年代に設立されたマクドナルドは、1950年代以降は便利で手軽なファストフードのメニューを提供し続け、今や最大手のファストフードカンパニーとなっている。

 誰もが良く利用するし、知名度が高いからこそ、ちょっとしたことで問題となってしまう。
アメリカでは訴訟大国ともいわれており、とりあえず裁判を起こすケースが多い。もちろんマクドナルド側が訴えるケースもある。

 というわけで、今回はマクドナルドにまつわるちょっぴり「奇妙な」訴訟をいくつか見ていこう。
【1. 同じ名前だから便乗】

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 イリノイ州フェアベリの個人経営レストラン「McDonald’s Family Restaurant」は、経営主がロナルド・マクドナルドという人物だったことから、本家マクドナルドに便乗する形で、1970年から営業を続けてきた。

 それよりも先に店舗展開をしている本家マクドナルド側は、この店に対し、アーチの使用やドライブインサービスでの提供を避けるよう警告する法的通知を何十年にもわたり発行し続けてきたが、オーナーのマクドナルド氏はあまり気にとめていなかった。

 しかし、地元に本家マクドナルドのフランチャイズ店が1マイル(約1.6km)ほど先でオープンした1992年、ついに訴訟に発展。

 地元住民には東と西のマクドナルドと呼ばれるようになっていたが、今まで通り営業するMcDonald’s Family Restaurantに対し、マクドナルド側はレストラン名の「s」を削除するよう要求してきたのだ。

 結局、1996年に本家フランチャイズ店が閉鎖となったことで、McDonald’s Family Restaurantは「s」をつけた元の名前で営業が可能になったという。

【2. チーズ抜きで頼んだのに値引きがない!クォーターパウンダー論争】

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 1/4ポンド(約113グラム)のビーフパテを使ったハンバーガーを意味する「クォーターパウンダー」に関して起こった2018年の訴訟は、大きな話題となった。

 南フロリダのフォートローダーデール店で、シンシア・キスナーさんとレオナルド・ワーナーさんはチーズ抜きのクォーターパウンダーを注文したにも関わらず、チーズをはさんだままで手渡され、しかもチーズ入りと同額の料金を店側に請求されたことから訴訟を起こした。

 原告側は、「チーズなしの商品にチーズを追加する際には、店側が20~40セント(約20~40円)を受け取っている他、マクドナルドのアプリ経由でチーズ抜きのクォーターパウンダーを注文する場合は、30~90セント(約30~100円)安くなる」という事実があったことを主張。

 ついては、マクドナルドは頼んでもいないチーズを客に無理やり受け取らせ、チーズ分の代金を請求から差し引かなかったことに対しての不満を訴え、500万ドル(約5億2500万円)を要求した。


 しかし、全ての店がそのオプションを提供しているわけではないと主張するマクドナルド側に、結局顧客が損害を証明することができず、この訴訟は法廷で破棄された。

【3. マクドナルドのキャラ盗用疑惑】

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 かつてマクドナルドのCMでは、架空世界「マクドナルドランド」に住むハンバーグラーやグリマスなど様々なキャラクターが多く登場していたが、これが法的論争の対象となってしまった。

 サイケデリックなアメリカの子供向けテレビシリーズ『H.R.Pufnstuf』のプロデューサーは、マックチーズ市長が同作品からの盗用であるとして、マクドナルドを訴えた。どちらのキャラクターも頭が巨大で、Pufnstufも市長という設定だったのだ。

 結果、裁判では1977年にH.R.Pufnstuf側が勝利し、マクドナルドは100万ドルの支払いとCMの放送中止を命じられた。

【4. コカ・コーラ異物混入事件】

 2016年、ユタ州リバートンのマクドナルドでダイエットコーラを購入したトレバー・ウォーカーさんは、その後一時的に腕や脚の感覚を失い、地元の病院に搬送される事態となった。

 コーラの中に、ヘロインの代用品とされるサボキソンという違法物質が入っていたのだ。

 ウォーカーさんはマクドナルドに対して訴訟を起こしたが、「フランチャイズ化された場所の日常業務とは無関係」とマクドナルド側は責任を認めなかった。

 当時、店のマネジャーと従業員が飲み物に違法物質を混入したとして疑われていたが、セキュリティ映像が入手できず、事実確認が不可能となった。この訴訟は現在も進行中である。

【低賃金が原因で落ちぶれたと元従業員の訴え】

 2012年、カリフォルニア州アロヨ・グランデのマクドナルドで雇われていたシェリー・リンさんは、マクドナルドの低賃金が副業を強いる結果となり、ネバダ州の売春宿で売春婦をする羽目になってしまったと大胆な主張をして訴訟を起こした。

 リンさんは、その店の店長によって性産業に追いやられたこと、店は実用的な苦情処理システムが存在していないことなどを不満として述べた。


 しかし同年の裁判で、リンさんが勝訴することはなかった。

【5. ピクルスが熱すぎて火傷】

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 1999年、ベロニカ・マーティンさんは夫とテネシー州ノックスビルにあるマクドナルドでハンバーガーを注文した。しかし、その時悲劇が起こった。

 ベロニカさんによると、非常に熱いピクルスがバンの間から飛び出てきたという。ピクルスは顎に直撃し、ベロニカさんはⅡ度のやけどを負ってしまった。

 訴訟では、「ピクルスに欠陥があった」とベロニカさんは主張。夫はマクドナルドに15000ドルを要求したが、ベロニカさんは11万ドルを要求した。

 結果、2001年に双方が和解したが、マクドナルド側は金銭的な支払いには応じていない。

【6. 太ったのはマクドナルドのせい】

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 ファストフードなどのジャンクフードは脂肪分も高く、そればかりを食べ続けると、カロリー過剰摂取となるが、それは個人の健康管理の問題だ。

 しかし、2002年にニューヨーク在住の10代の若者は、肥満の原因は店側にあると訴訟を起こした。

 14歳と19歳の若者が、「ファストフードが肥満を引き起こすことを知らず、食べ続けたために高血圧と高コレステロールを患った」と主張し、週に数回マクドナルドの商品を食べている個人の習慣に対しての責任を追えと要求したのだ。

 また、15歳の原告による訴訟では、弁護側が「子供への広告が食品の栄養価の信頼を促進するのに役立つ」と主張したが、2003年の裁判で却下された。


 現在、少なくともアメリカの26の州には「常識的消費法」が定められている。これは、退廃的な食事の摂取の結果として、健康への悪影響を理由に食品メーカーに対して訴訟が提訴されないようにするためだ。

 ちなみに、この法律は「チーズバーガー法」と呼ばれている。

References:Mental Flossなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:訴訟大国とはいうものの...マクドナルドにまつわる6つの奇妙な訴訟(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52288588.html
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