観測史上最大の明るさを持つ超新星が発見される

史上最高の明るさを持つ超新星
 観測史上もっとも明るい超新星が発見されたそうだ――それは、これまで一番明るいとされていた超新星より2倍も明るい。

 明るさもさることながら、爆発から放出されるエネルギーも凄まじく、太陽が一生の内に生み出す全エネルギーの10倍にも達するという。


 『Nature Astronomy』(4月13日付)に掲載された報告によると、その超新星「SN2016aps」の質量は太陽の50~100倍。太陽質量の8~15倍程度である通常の超新星に比べて、はるかに大きい。

 またこの超新星は、理論上予測されていた「脈動性対不安定型超新星(pulsational pair-instability supernova)」の科学的証拠だとされている。

An extremely energetic supernova from a very massive star in a dense medium
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1066-7

【2つの恒星が融合した巨大超新星】

 この凄まじい爆発は、2つの恒星が融合した結果だと考えられている。

 だが、それでもなおここまでエネルギーが増大したのは、それらのいずれか、あるいは両方が消滅する前に放出したガスと超新星が衝突したためである可能性が濃厚だとのことだ。

とんでもなく大きな質量を持つ星は、死ぬ前に激しい脈動を起こして、巨大なガスの殻を振り払います。過去50年間、ここに対不安定というプロセスが力を与えている可能性があるのではと、物理学者はあれこれ思索してきました 

 バーミンガム大学のマット・ニコル博士は声明で述べている。

 超新星がタイミングよく発生すると、振り払われた殻に追いついて衝突し、膨大なエネルギーを放出します。今回の事例はこれまで未観測だったこのプロセスの最有力候補であると、私たちは考えています。しかも、もっとも大規模なものである可能性すらあるのです

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超新星のイメージ図 Northwestern University
【あるはずのない水素が検出された理由】

ニコル博士によると、SN2016apsは別の謎も突きつけてくるという。
 
検出されたガスのほとんどは水素です。しかしこうした巨大な星では、恒星風のせいで脈動が始まるずっと前に水素が失くなっているのが普通です

 ないはずの水素が残っていた理由としては、やや質量が小さい(太陽質量の60倍くらい)恒星が2つあり、それらが爆発する前に融合した可能性が考えられるという。


 2つの恒星は比較的質量が小さかったので水素が吹き飛ばされずに残っていた一方、融合したときの質量は対不安定が生じるくらい大きなものだった。

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【銀河核付近の巨大超新星と遠方の巨大超新星】

 このとき超新星が放つエネルギーは、これまで最大の超新星とされてきた 「ASASSN-15lh」よりも若干高い程度だと推定されている。

 ASASSN-15lhが生じたプロセスは完全には分かっていないが、銀河核の近くにあることから、超大質量ブラックホールが関係しているという説がある。

 一方、SN2016apsの場合は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールからずっと離れたところにあり、そのことが強力な爆発力の源だったかのように見える。

 こうした謎を解明するのは、まもなく打ち上げられるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡をはじめとする次世代望遠鏡の役割だろう。

References:eurekalert / space./ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:観測史上最大の明るさを持つ超新星が発見される http://karapaia.com/archives/52290020.html
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