月の表面がまるごと詳細にわかる!月面地質マップ完全版がリリース(アメリカ地質調査所)

月の地質を視覚化した地図 image by:USGS
 地球から見上げる月は白やオレンジ、あるいは金色っぽく輝いているが、近くから見れば灰色の土と黒い影におおわれたモノトーンの世界だ。

 だが、この度発表された、これまでで一番詳細に月面の様子が記載された地図を眺めてみれば、地質学的にはモノトーンどころか多様性に満ちた世界であることが分かるだろう。


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First-Ever Comprehensive Unified Geologic Map of the Moon

【最新データとアポロ時代の6枚の地図を元に編修】

 10年越しの集大成とされる月の地質地図の最新バージョンは、NASA月惑星研究所とアメリカ地質調査所・宇宙地質学センターの手によるもの。

 縮尺は1/5,000,000で、NASAの月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」が収集した地形データや、アポロ時代の6枚の地質地図のデータなどを元に編纂された。赤道の標高には、日本の宇宙航空研究開発機構が運用する月周回衛星「かぐや」のデータも利用されているそうだ。

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月の地質を視覚化した地図 image by:USGS
 じつはこれまでの月の地図は、グループによって若干違う方法で作成されてきたために、同じ場所の地図でも完全には一致しないという問題があった。そこで今回の編纂作業と並行して、これまで地図によってまちまちだった岩石の名称・記述・年代も統一されている。

 また、これで完成したわけではなく、今後さらに詳細な地図が作成される予定であるとのことだ。

Unified_Geologic_Map_of_The_Moon_200dpi.jpg (9218×7810)
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merc_Unified_Geologic_Map_of_The_Moon_1024.jpg (1510×1165)
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【月の45億年の歴史を紐解く手がかり】

 月には地殻もマントルも核もあるが、地球とは違ってプレートがない。こうした特徴が詳しく分かれば、月が誕生した経緯やその後の進化といった、その45億年の歴史を紐解くことができるという。

 さらに地図は変化に富んだ月の本当の姿をただ明らかにしてくれるだけではない。宇宙飛行士がどこに着陸し、どこを調べるべきか、将来的な探査ミッションを策定する際の羅針盤にもなってくれる。
 

 「地図は、10年に及ぶプロジェクトの集大成です。月で探査された区域と残された区域をつなぎ合わせてくれるので、新しい科学調査計画を練る上での重要な情報源となります」と、アメリカ地質調査所のコリー・フォルテッツォ氏は話している。


 この地図は月惑星研究所が開催した第51回会議で発表された。詳しい内容は、こちらの論文で説明されている。

51st Lunar and Planetary Science Conference (2020)
https://www.hou.usra.edu/meetings/lpsc2020/pdf/2760.pdf
References:Unified Geologic Map of the Moon, 1:5M, 2020 | USGS Astrogeology Science Center/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:月の表面がまるごと詳細にわかる!月面地質マップ完全版がリリース(アメリカ地質調査所) http://karapaia.com/archives/52290309.html
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