
不安を乗り切るための防衛的悲観主義 / Pixabay
「大丈夫、すべてはうまくいく」こんな気休めを声高に言われても、かえって落ち込んでしまう人もいるだろう。確かに人生うまくいかないことのほうが多い。
そんな時、「防衛的悲観主義」という身の守り方もある。あえて悲観的に考えることで自分を守るのだ。一見、眉をひそめるようなやり方だが、人によっては、現実的に物事に立ち向かうための助けになるという。
なんでもすべて自分の思惑通りにいくわけではない。ときに想像以上にひどい状況になることだってある。
楽観的な人は、こうした逆境に耐えられないことが多い。うまくいかない現実にどうにも納得ができないのだ。そんなとき、防衛的悲観主義をうまく利用すれば、マイナスの現実を案外受け入れることができるというのだ。
【防衛的悲観主義はどのように機能するのか?】
防衛的悲観主義とは、ふさぎこんでネガティブになれ、ということではない。悪い状況におかれた苦しみから自分を守るためのひとつの姿勢なのだ。
「最悪に備え、最善を望む」ということわざがある。守り入るということは、つまりこういうことだ。
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【不安を和らげるために、どのように防衛的悲観主義を活用するか?】
1. 現状を正しく認識し、リスクに対応する為の戦略をたてる
前向き思考は、明るさや希望を保つのに役立つが、あえて悲観的に考えることは、戦略を強化することにつながる。
例えばチェスをするとき、ひとつ先の動きではなく、3つ、4つ、さらに5つ先の動きまで考える...つまりこれが戦略だ。
もっと先の手まで考える人もいるかもしれない。悲観主義の戦略は、今を正しく認識するためにしなくてはならないことを理解するだけでなく、思いもよらない対立が起こった場合に備えて、前もって計画をたてるのにも役立つ。
2. 論理的に準備を進め、いくつかのプランを用意しておく
悲観的な考えに押しつぶされないうちに、悲観主義を最大限活用するには、論理的な準備をする方法を学ぶことだ。
人生について現実的に考え、いい結果と悪い結果両方に備えるためにはどんなツールが使えるのかを知るのだ。
これは、不意打ち対策に効くだけではない。心にじわじわ巣くい、厄介な問題になりそうなどんなネガティブなことにも当てはまる。
十分に準備していれば、困った問題もちょっとつまづいただけで済むだろう。顕著な例は、"プランB"と呼ばれるものを常に維持しておくということだ。
3. 過去の辛い体験を生かし、必要以上に落ち込まない
防衛的悲観主義は、過去のイヤな体験から表面化することが多い。深く傷ついた体験は、後で多くの問題を引き起こすが、その人を強く成長させてくれることもある。
過去に辛い思いをしたことのある人たちは、人生の問題と闘うのに楽観的な戦略をとることはめったにない。"ただ楽観的でいる"ことは、問題の解決にならず、悩みは解消しないことをよくわかっているのだ。
その代わり、彼らは困難にがんじがらめになる前に、与えられたどんな状況に対しても可能な限りのシナリオを考える。やめ時を知っていて、ストレスを寄せつけず、それを上記のような戦略的プランで置き替える。
4. 守りに徹する為、自分の能力を総動員する
あなたが防衛的悲観主義者なら、隠れた能力を活用できる可能性がある。楽観主義者は、不安や困難を徹底的に排除し、すべてのことを予定通りに進めることだけを見ているため、こうした能力は使わない。
守りの姿勢を適切に活用するには、あなたが人生で培ってきた能力、さらには、持って生まれた才能を総動員して、自分の安全を確実なものにしなくてはならない。
状況が悪化したときでも、あなたは選択肢のいっぱい詰まった籠を持っているのだから、準備を怠らなければ、プランBのために使える強力な能力をさらに追加できることになる。
5. 不安をコントロールし手なづける
なぜ、防衛的悲観主義が時に好ましい心の状態になりうるのか?
不安を感じたとき、たいていの人はなるべく前向きでいようとするが、それだと実際には、ますますパニックに陥っていく場合がある。
落ち込まないよう、前向きでいよう、がんばろうともがけばもがくほど、プレッシャーになってしまうからだ。そうすると、起こりうるかもしれないことに対する備えができなくなる。
いつまでもうじうじと悪い出来事にこだわっているのは、良くないことかもしれないが、すべてはバラ色だと根拠なく思い込むのも、あまりいいこととは言えない。
守りに入ると、頭の中のシナリオを通して、自身を機能させることができ、のちに必要になるかもしれない解決法を思いつくことで、不安を手なずける機会ができる。自分で不安をコントロールできるということは、自分の人生を制御していられることを意味する。
楽観主義だけでは、そのようなコントロール力は得られない。"常に幸せで、いいことだけを信じ、最悪は考えない"という姿勢は、一見、すばらしいことのように思えるが、非常に危険な場合もある。
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【楽観と悲観のバランスをとろう】
人生で何度も悲観的になり、暗闇のどん底に突き落とされることもあった。できるだけ楽観的になろうと努めれば、しばらくはそれが功を奏すが、それは一時だけの場合もある。そんなとき、実際に生きる指針になるのは、防衛的悲観主義という姿勢なのかもしれない。
"最悪に備え、最善を望む"という生き方を実践してみることで、問題に目をつぶるという最悪の事態にならず、人生は常にすばらしいものにできるものだと信じられるようになれる人もある。
常に楽観的である必要もなければ、常に悲観的である必要もない。そのバランスが大事なのだ。人によってはあえて防衛的悲観主義という姿勢をとることで、未来を見据えることができるかもしれない。
未来の落とし穴のためにプランをたてることは、戦略を実行し、備えを強化して、負の衝撃に立ち向かう防波堤となりえる可能性がある。
光ある所に影がある。その逆もしかり。光と影のバランスをうまく両立させることができれば、不安をうまく乗り切ることができるかもしれない。
References:How Defensive Pessimism Can Help You Cope with Anxiety – Learning Mind/ written by konohazuku / edited by parumo
記事全文はこちら:不安を乗り切るための1つの選択肢。あえて悲観的に考えることで身を守る「防衛的悲観主義」とは? http://karapaia.com/archives/52290367.html