アメリカに新たなる刺客。ワシントン州でオオスズメバチの侵入が確認される

オオスズメバチがアメリカに侵入 /iStock
 コロナパンデミックの渦中にあるアメリカでは、新たなる脅威に見舞われている。ワシントン州で、オオスズメバチの侵入が確定されたのだそうだ。

 昨年12月に4件の目撃証言があり、ワシントン州農務省がついにこれを正式に確認したとのこと。アメリカでオオススメバチが報告されたのは初めてのことだそうだ。

 日本にも多く生息するアジア原産のオオスズメバチの恐ろしさはご存じの通りだ。殺人バチとの異名を持つ侵略的外来種、オオスズメバチの襲来に、地元SNSはちょっとした騒ぎになっている。
【オオスズメバチの侵入経路は?】

 じつは昨年秋の時点で、カナダ、バンクーバーにおいて韓国種と思われるオオスズメバチが発見されている。だがワシントン州とカナダとの国境沿いの街ブレインで発見されたのは、日本種であるようだがまだ特定には至っていないようだ。

 貨物船のコンテナなどに紛れ込んだものと思われるが、お酒に漬けるために何者かによって持ち込まれた可能性もあるとのこと。

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オオスズメバチ/iStock
【殺人バチと恐れられるオオスズメバチ】

 体長5cmを超す、世界最大級の大きさを誇るオオスズメバチは、日本に生息するハチ類の中でも最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い非常に危険な種であるとされている。

 本種は毒針のほか、強力な大顎で相手を噛むことで捕食対象を攻撃する。時速約40kmで飛翔し、狩りをする時は1日につき約100kmもの距離を移動できる。

 人間が刺されると、痛みや腫れ、炎症や痒み、体温の上昇等が発現する。2回以上刺されると、人によっては、「アナフィラキシーショック」により、全身性のじんましん、血圧低下、呼吸困難、意識障害などを発症し、場合によっては死に至る危険性がある。

 蜂毒によるアナフィラキシーショックは発症期間が10分~15分程度と非常に短いため、治療が間に合わず毎年20人程度の方が命を落としていると言われている。

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‘Murder Hornets’ Arrive In US | TODAY

【懸念される農業への影響】

 オオスズメバチの脅威は人間以外にも及ぶ。幼虫のエサにするためにミツバチを殺してしまうことでも知られている。

 ミツバチは作物の受粉という大切な役割を担っているために、侵入してきたオオスズメバチが広まるようなことがあれば、農業にも影響が出ると懸念されている。

 養蜂農家からは、頭をもぎ取られたミツバチの死骸が大量に見つかったという報告も寄せられているという。

 ニホンミツバチはオオスズメバチを球状に取り囲み腹部の筋肉収縮・翅の振動などを利用し中心部を50度近くまで上昇させ蒸し殺す「熱殺蜂球」という必殺技を持っているが、アメリカやヨーロッパに多く見られるセイヨウミツバチは、スズメバチの容赦ない攻撃に対して防御する術をまだもっていないそうだ。

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 ワシントン州農務局は養蜂農家や住民に対し、オオスズメバチを見かけたら報告するよう求めている。目撃情報を寄せてもらうためのアプリも開発した。だが見かけても決して近づきすぎてはいけないと警告する。

 また、オオスズメバチの針は、一般の養蜂用防護服を貫通してしまうため、当局は特製の防護服を発注、サーマルカメラを利用して捜索しつつ、女王バチの駆除作戦を行っている最中であるそうだ。

 新たなる脅威に対し、SNSの反応は...
・正直驚いたけど、殺人バチの侵入は気分転換にはいいかも。
・これは政府が殺人バチを使って社会的距離の取り方を教えてくれてるって解釈でいいのかな?

新型コロナに、小惑星に、宇宙人に、今度は殺人バチ。2020年オワタ。

・新型コロナ収束の兆し。
2020年「殺人バチを放て!」。俺たち「なんだ…と?」
・せめて過失殺人バチと呼んでやろう。わざとじゃないんだ。

新たな舞い上がる厄介者を歓迎するぜ。

・5月には外に出られるんじゃなかったかしら?

・2020年は要約するとこうだ。最初に新型コロナ、次に殺人バチ。
References:mentalfloss / rtなど/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:アメリカに新たなる刺客。ワシントン州でオオスズメバチの侵入が確認される http://karapaia.com/archives/52290574.html
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