ケープミツバチの働きバチは交尾せずメスを産む /iStock
1匹の女王バチを中心にコロニーを形成し、役割分担をして生活するミツバチの世界。女王バチは大量の卵を産む係、オスのミツバチは生殖活動を担い、働きバチと呼ばれるメスのミツバチは蜜や花粉の採取や子育て全般を行っている。
ところが、南アフリカに生息するセイヨウミツバチの亜種「ケープミツバチ(学名 Apis mellifera capensis)」には、普通のミツバチとは違う珍しい特徴がある。働きバチの卵からメスが生まれるのだ。
一般的に、働きバチは繁殖しないメスだが、時として単為生殖で無精卵を産むことがある。だが、無精卵からはオスしか生まれないのが普通だ。
ところがケープミツバチの働きバチは、己のクローンではあるが、メスを産むことができる。つまり、女王バチとして遺伝的に転生できるということだ。
このほど、シドニー大学(オーストラリア)の研究チームによって、それを可能にする遺伝子が特定され、『Current Biology』(5月7日付)で発表された。
A Single Gene Causes Thelytokous Parthenogenesis, the Defining Feature of the Cape Honeybee Apis mellifera capensis: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(20)30547-9
【メスだけでメスを生む産雌単為生殖】
交尾することなく、単為生殖によって産まれる子の性が、メスのみの場合は「産雌単為生殖」というが、これはケープミツバチでしか知られていない。研究チームによると、その能力の源は11番染色体にある「GB45239」遺伝子であるという。
このおかげでケープミツバチの働きバチの卵巣は大きく、活性化しやすい。一介の働きバチが女王バチのフェロモンを漂わせ、巣の中で出産を担うのは自分であると主張することまでできる。
しかし、この能力には問題もある。
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ケープミツバチの巣 Discott/wikimedia commons
【女王バチに転生し他種の巣を乗っ取るケープミツバチの働きバチ】
働きバチなら誰でも女王バチとして転生できるケープミツバチには、よその巣を乗っ取ってしまう非情な側面がある。
アフリカミツバチ(学名 Apis mellifera scutellata)の巣に侵入して、そこで女王として転生すると、彼らに自分の子供の世話をさせてしまうのだ。
ケープミツバチの卵はアフリカミツバチのそれによく似ている。そのためアフリカミツバチの働きバチは、そうとは知らずによそ者の卵や幼虫の面倒を見る。やがて巣はケープミツバチだらけになり、完全に占領されてしまう。
南アフリカでは毎年、この寄生行為によって多くのアフリカミツバチが殺されている。アフリカミツバチは農作物の受粉を手助けしているので、農家にとっては頭の痛い問題だ。
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アフリカミツバチ JMK.wikimedia commons
【単為生殖の遺伝子メカニズムが危険な外来種制御を可能に】
今回の研究で特に注目すべきは、単為生殖を司る遺伝子のメカニズム解明につながるかもしれないことだろう。
もし単為生殖のスイッチを制御することができれば、農業やバイオテクノロジーをはじめとするさまざまな分野で応用できるだろうとのことだ。
たとえば、ケープミツバチの転生を抑制して、受粉を助けるアフリカミツバチの被害を軽減することができるかもしれないという。
References:Researchers discover a gene in honey bees that causes virgin birth/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:ケープミツバチが単為生殖でメスを産むことを可能にする遺伝子が特定される http://karapaia.com/archives/52290722.html











