古くから平和のシンボルとして名高い鳩だが、インドの国境付近ではたびたび捕獲される不審な鳩が警察を悩ませている。
今月24日、インドとパキスタンの国境付近に位置するカシミールの村で見つかった鳩がインド当局に引き渡された。
その鳩には鮮やかな赤い印と「暗号化されたメッセージ」ともとれる数字がついた足環があるため、インドとパキスタンを行き来するスパイの疑いがあるとして拘束されたのだ。
なおこうした事例はインドでたびたび発生しており、およそ10年前にも同様の鳩がスパイ容疑で拘束され話題となった。
定期的に現れるミステリアスな鳩。ところが今回、拘束されたその鳩の無実を証明する人物が現れたという。
[動画を見る]Locals Capture Suspected 'Spy' Pigeon From Pakistan Near Indian Border In Kathua
【スパイなの?国境で謎の鳩がまたも捕獲される】
この鳩は今月24日にインドとカシミールの間に広がる山岳地帯カシミールのマニャリの村で捕獲された。そこはインドと対立するパキスタンの実効支配地域に近く、カシミールの帰属をめぐる紛争が絶えない地域として知られる。
その鳩はパキスタンからある女性のもとに飛んできたとみられるが、目立つ印がついた鳩には足環がありいくつかの数字が並んでいるという。鳩を受け取った警察官のミシュラ氏はこう語る。
「この鳩がスパイ目的とは言い切れない。地元の人が足環を見て捕まえたんです。しかしそこに刻まれている数字を暗号化されたメッセージという人もいます」
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確かに鳩の帰巣本能を利用した通信手段は過去の戦争でも使われている。ミシュラ氏はパキスタンのパンジャーブのあたりでは所有者が鳩に数字の入った標識を結び付けることを知っているが、インドに飛んできた鳩たちは識別番号に模した暗号を運んでいるかもしれないのだ。
【ケージに入れられスパイ容疑で調査される鳩】
地元メディアによると、インドの警察は鮮やかなピンクの印と脚に足環がある鳩を「スパイの疑いあり」として記録し、容疑者の安全を確保するためにケージまで用意しているという。
なお、警察は現在のところその鳩に異常はみられないとしながらも、特別部門が調査にあたっていると述べている。
「鳩がパキスタンのスパイとして捕獲される事例は定期的に起きています。国境沿いのこのあたりは微妙な地域で、潜入行動もよくあります」
ある警官は鳩が国境を越えてメッセージを伝えるために使われていると主張し、疑いをもたれにくい鳥が伝書鳩のようにこっそり使われていると話す。
【過去には首相への脅迫メモまで。定期的な事案に】
こうした事例は初めてではなく、2010年にパキスタンとの国境沿いのパンジャーブ州で体に赤いインクと足環がついた鳩が警察に届けられている。そのインクはパキスタン国内の電話番号と住所のスタンプだった。
さらに2016年も同州の警察が同様の鳩を発見。その鳩にはインドの首相への脅迫を含むメモがついていたという。
その前年にも体にメッセージをつけられた鳩などが捕獲されており、スパイ容疑の鳩は定期的な事案になってるようだ。
なにしろ相手は鳥であり、問いただすこともできない。結果、用途や意図は不明であっても警察が身柄を拘束、詳しい調査に回す流れができあがってるらしい。
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【それうちの鳩!パキスタンで鳩の飼い主が無罪を主張】
じゃあ今回の鳩も謎のままかと思いきや、なんとパキスタンでその鳩の容疑を否定する人物が地元メディアに取り上げられている。
その情報によると、パキスタンのBagga-Shakargarh村に住むハビブラという名の男性が、その鳩は自分のもので足環の数字は自分の携帯電話の番号だと主張してるのだ。
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ハビブラ氏は鳩を数十羽も所有する愛鳩家で、イード(イスラム教の祝日。直近では今年5月24日)の頃にインドの領土から4km付近にある彼の村で何羽かの鳩を飛ばしたという。
大切な鳩を案じているハビブラ氏は、インドの首相に鳩の返還を要請し、インド当局に対しても正式な協定や正当な尊重を求めるという。
彼は「平和と愛と寛容の象徴」である愛鳩の無罪を訴えている。事実であれば鳩にとってもとんでもない濡れ衣だが、対立国のインドでその主張が受け入れられるかは謎だ。なお、これに関する当局の対応はまだわかっていない。
References:ladbible / youtube / uniladなど /written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:パキスタンのハトが、インド当局にスパイ容疑で拘束されるも無実を証明する人物が現れる http://karapaia.com/archives/52291306.html
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