都市部に住む野生のキツネが進化、飼いならされた犬に近づいてきている(英研究)

都会に住むキツネの犬化 / Pixabay
 イギリスの首都、ロンドンは大都市でありながら、たくさんのキツネが暮らしているところだ。そこで暮らす人とキツネの割合で言えば、300人あたり1匹にもなる。


 『Proceedings of the Royal Society B』(6月3日付)に掲載された研究によれば、人の多いで都会で暮らす野生のキツネには、田舎のキツネとははっきり違う新しい特徴が現れているそうだ。

 そうした変化は、犬や猫が家畜化された初期に現れたものと同じなのだそうだ。
【都会で暮らしやすいよう適応進化したアカギツネ】

 イギリス都市部では、野生の「アカギツネ(学名 Vulpes vulpes)」が多く生息している。

 グラスゴー大学(イギリス)をはじめとする研究チームは、1971年から73年にかけてロンドンやその近郊で収集された大人のアカギツネの頭蓋骨111点を分析したところ、頭蓋骨のサイズに明らかな違いが見つかったのだ。

 彼らはわずか1世紀ほど都会で暮らしただけなのに、田舎のキツネに比べて、頭が小さく、マズルが短く幅広だった。またメスとオスとの体の大きさの違いも小さかったという。

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都市と田舎のキツネの頭蓋骨の比較 image by:Parsons et. al., 2020
 研究チームは、そうしたマズルの形は人間の残飯を嗅ぎやすいよう発達した結果であると考えている。

 ロンドン、バーミンガム、ブリストルなど、イギリスの都市部には数多くのキツネが生息している。ロンドンだけでも1万匹ものキツネがいるとされるが、調査の結果、彼らの食事の37%が人間の残飯で占められていることが判明しているのだ。

 都会のキツネは地元にとどまる傾向にあるので、田舎のキツネと交配することが少ない。そのため、有利な特徴を持つ子供を残すことを通じて、都市独特の環境に適応しやすいのだという。

【犬や猫が家畜化された初期に起きた現象と類似】

 こうしたアカギツネは新種になったわけではないが、まさに「家畜化症候群」なる特徴を示しているという。
つまり人間のそばで暮らすことで、野生生物よりもペット寄りになり始めているということだ。

 研究チームによると、こうした都会のキツネが暮らしている環境は、おそらく犬や猫がその家畜化の初期段階で暮らしていた環境にも似ていると考えられるのだそうだ。

 人間の活動は、環境に急激かつ多様な変化をもたらすことがある。そうした人間のそばでの生活への適応は、動物が家畜化される上で一番重要なことなのだろうという。

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【突然変異とは異なる進化】

 また、こうしたアカギツネの急速な変化は、キツネの根本的な傾向とも関係している。

 今起きている変化が、都会での生存を助けるスキルと関係していることは、急速な進化が意外な形で起きていることを示してもいるという。

 研究チームによれば、彼らの変化はキツネが変化できる程度に依存している。つまり彼らの変化は、進化において常識的とされるランダムな突然変異がもたらすランダムな効果によるものではないということなのだそうだ。

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【家畜化が進むアカギツネの未来の姿は?】

 都会で暮らすアカギツネが今後どうなるのか、確かなことは分からない。

 イギリスの都市部におけるキツネの生息数は、1995年の3万3000匹から2017年の15万匹にまで増えた。ところが、2018年には原因不明ながら42%も減少してしまっている。

 キツネは都市環境に適応したが、都市環境は必ずしもキツネに優しいものではないようだ。


 かつて人が犬を我が家に招き入れたように、キツネもまたそうなる日が来るのかどうか――それは神のみぞ知るである。

Skull morphology diverges between urban and rural populations of red foxes mirroring patterns of domestication and macroevolution | Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2020.0763


References:inverse / physなど/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:都市部に住む野生のキツネが進化、飼いならされた犬に近づいてきている(英研究) http://karapaia.com/archives/52291550.html
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