ニューヨークでペットショップでの動物販売禁止 image credit:Markus Winkler/Unsplash
7月21日、アメリカ・ニューヨーク州の全てのペットショップにおいて、猫、犬、ウサギを販売禁止とする法案が可決された。
前々から、ペットショップの動物に対する扱いや、パピーミルと呼ばれる、悪質なブリーダーが劣悪な環境で動物を繁殖させていることが問題となっていたが、2017年、あるペットショップが抜き打ち検査で動物虐待を行っていた事実が発覚したことが決め手となった。
ペットショップでの動物の販売禁止は、既にカリフォルニアやヨーロッパの一部国でも同様の新法が施行されている。ニューヨーク州では、この案が今後法律として施行されるにあたり、ペットを飼いたい人々は保護施設にいる動物たちへの救済を奨励している。『Mental Floss』などが伝えた。
【ニューヨーク州でペットショップでの犬・猫・ウサギ販売が禁止に】
ニューヨーク州のペットショップで犬・猫・ウサギの販売が禁止されるという法案が提出されていることは以前から報じられていたが、7月21日、ついに同州上院は、その案を可決した。
この法案は、2017年にマンハッタン区チェルシーにあるペットショップでの抜き打ちの覆面捜査の結果が影響している。
そこで、日常的に動物を虐待していたり、病気の動物を健康だと偽って販売していたりした事実が発覚し、訴訟から裁判に発展した。
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パピーミル(お金もうけのために劣悪な環境で大量繁殖させている悪質なブリーダー)の存在はかねてより問題となっていた。
パピーミルが繁殖させた動物たちはペットショップに買い取られることとなるため、ペットショップで販売できなくなるようにすれば、パピーミルは商売にならなくなる。
ブリーダーの中にも動物を心より愛し、その健康や幸せを最優先する良識のある人も存在するが、そういった人はペットショップと取引しないことがほとんどだ。
動物を愛する人々も長きにわたりこの法案が可決されることを願ってきた。
アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)の会長兼CEO(最高経営責任者)のマット・バーシャドカー氏は、次のように話している。
子犬や子猫を販売するペットショップは、店の外から見た分には見栄えがいいかもしれませんが、無謀で非人道的なシステムによってお金を得ています。
病気の可能性がある動物でもお構いなしに、州外のパピーミルから買い取り、「責任あるブリーダーからの健康なペット」として一見の消費者に販売しているのです。
【動物たちは商品としてでなく、敬意を持って扱われるべき】
ただしこの法案が可決されたといっても、現在ニューヨークで許可されている80店舗のペットショップの全てが閉店になるというわけではない。またペットショップでのペットの購入を完全に禁じるものでもない。
今現在販売されている、あるいは繁殖させたペットたちを守る必要があるからだ。
今後、この法案が法律として施行されれば、個々のブリーダーは動物たちを世話する生活条件や環境に対しての厳しい審査をいくつも受けなければならない。
優良なブリーダーでとしての認定されれば、販売権を得ることが可能になるという。ただし抜き打ち捜査などで、定期的にチェックされるという。
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【一部反対の声も】
この法案は賛成ばかりではない。一部反対の声も上がっている。
ペットショップで販売できない動物が、オンラインを通じで簡単に売買される機会を増やしてしまうのでは、という懸念があるという。
確かに一理あるだろう。だが、この法案は、悪徳業者のブリーダーやペット工場主の存在を阻止すると共に、保護施設にいる動物に目を向け、彼らを家族に迎え入れるという目的もあるのだ。
2月にこの法案を提出したマイケル・ジナリス議員は、動物福祉においては最も熱心な支持者のひとりで、このように述べている。
動物保護施設には、とても多くの動物たちが永遠の家を必要としています。子犬や子猫を虐待する工場から来た動物を、ペットショップが販売する必要などありません。
私たちの4本脚の仲間は、商品としてではなく敬意を持って扱われるべきなのです。
現時点では法案可決となったものの、法として施行されるためには州議会とニューヨーク知事の承認が必要となるが、既にほかの州で施行されていることを考えれば、そう遠くない未来に施行されるだろう。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:ニューヨーク州のペットショップで犬・猫・ウサギの販売を禁止する法案が可決(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52293050.html











