脳みそそっくりの毒キノコ「シャグマアミガサタケ」が、フィンランドでは珍味として食べられている件

脳みそ毒キノコが珍味として食される image credit:Wikipedia
 自然が美しいことで有名な北欧フィンランドには、約5300種のキノコが存在すると言われている。その中には毒を持つキノコも50種ほどあり、更に致命的となり得る猛毒キノコは11種存在するという。


 その猛毒キノコの中でも有名なのが、脳のようなグロテスクな外見を持つシャグマアミガサタケ(Gyromitra esculenta)だ。

 このキノコ、毒性が高いことから、各国では販売や調理が違法となっており、北欧のスウェーデンやノルウェーでも数年前から販売が禁じられている。ところがだ。フィンランドでは珍味として一般的に食されているという。
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The Poisonous Mushroom Finnish People Love to Eat

【潜在的に致命的な猛毒を持つと言われるシャグマアミガサタケ】

 北欧では、過去何世紀にもわたり消費されてきたと言われているシャグマアミガサタケ。しかし、この猛毒キノコは少量でも致命的とされており、今や北欧ではフィンランドのみでしか食用として認められていない。

 まるで脳を思わせるようなグロテスクな外見は毒キノコそのものだが、「珍味」としてミシュランスターレストランでも食材に使用されるなど、フィンランド人にはごく一般的な食べ物なのだそうだ。

 しかしそのまま何もせず食べると、有毒成分であるギロミトリン、およびその加水分解によって生成するモノメチルヒドラジンにより中毒症状を起こす。

 食後7-10時間で、吐き気・嘔吐・激しい下痢と腹痛、痙攣などを起こし、重症の場合には肝障害による黄疸・発熱・めまい・血圧降下などが現れるという。

 更に脳浮腫とそれに伴う意識障害ないし昏睡、あるいは腸・腹膜・胸膜・腎臓・胃・十二指腸などの出血をきたし、最悪の場合には2-4日で死に至ることがあるそうだ。すごくやっばいやつじゃん。

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【シャグマアミガサタケの処理&調理法とは】

 もし食べるのなら、絶対にしっかりとした知識で、正しい方法で毒抜き調理しなければならない。
だが、毒抜きをしても発がん物質を含む「ジャイロミトリン」という毒素が体内に蓄積すると、深刻な健康被害を生じると言われているため、定期的に食すべきではないという警告もなされている。

 日本の一部チャレンジャーがフグのヤバイ部分を食べる感覚と同じなのだろうか?とりあえず日本にもこのキノコは存在するというし、チャレンジングしている人もいるのだろうか?

 ちなみに以下がフィンランドで食べる場合の調理方法となっている。

・まず、半分に切った場合大量の冷水(50グラムのキノコに対し水1L)で1時間~2時間は浸す。

・少なくとも2回はすすぐ。

・その後、キノコの量の少なくとも3倍の水を鍋に入れ、最低5分~10分間煮沸する。これを2回繰り返す。

・煮沸後、ザルでよく排水し、冷水でじゅうぶん洗う。

 処理中の注意点としては、鍋からの湯気を吸いこまないように、窓を開けるなど部屋の換気をじゅうぶんすること、またゆで汁や戻し汁を絶対に調理に使用しないこと、だ。

 Nordic Recipe Archiveには、「車中や換気の悪い部屋にシャグマアミガサタケを放置してはいけない。キノコから放出された毒ガスにより、吐き気や頭痛を引き起こす」と記載されている。

 フィンランドでは、シャグマアミガサタケは新鮮なものと乾燥させたものが販売されている。「乾燥品は、新鮮なものよりも安全」という説もあるようだが、これは間違いだという。
新鮮なもの同様正しい処理方法をすることが大切だそうだ。 

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【厳しい食品管理のもと販売されるシャグマアミガサタケ】

 ミシュランスターレストラン『INARI』の経営者でシェフのキム・ミッコラさんは、シャグマアミガサタケは珍味として客に楽しまれていると話している。

 正しく処理して調理すると、ナッツのような芳香と豊かな味わいがある美味しいキノコに変身するそうだ。

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 フィンランドのスーパーでは、250グラム7ユーロ(約860円)ほどで売られているが、当局により警告サインを販売している通路に配置することが義務付けられている他、パッケージには処理及び調理の説明が入ったリーフレットが含まれていなければならないといった厳しい規制のもとで販売されている。

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 猛毒キノコを正しく処理し、調理するにはなかなかの手間暇がかかるが、命がかかっているため致し方ないだろう。

 ちなみに、フィンランドではシャグマアミガサタケは“”耳キノコ”を意味する『Korvasieni(コルヴァシエニ)』という名でも市民に親しまれているということだ。

References:The Poisonous Mushroom Finnish People Love to Eat / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:脳みそそっくりの毒キノコ「シャグマアミガサタケ」が、フィンランドでは珍味として食べられている件 http://karapaia.com/archives/52293130.html
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