指名手配中のメキシコの麻薬カルテルのリーダー、逮捕されるのが嫌で私立病院を建設

麻薬カルテルのリーダーが病院建設 image credit:wikipedia
 メキシコで、現在急速に成長している麻薬カルテル組織『ハリスコ・ヌエバ・へネラシオン・カルテル(CJNG)』のリーダーで、“エル・メンチョ”と呼ばれているネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(54歳)が、独自の民間医療を建設したことが『El Universal』で報じられた。

 それによると、現在指名手配中のエル・メンチョは複数の病を患っており、他の医療施設に入ると逮捕される可能性や殺害される可能性があるとして、それを避けるために自分の息のかかった組織のメンバーを取り込んだ民間医療施設を建設し、そこで治療を受けることにしたという。

【指名手配中の麻薬カルテルリーダー、エル・メンチョ】

 現在、メキシコの麻薬カルテル組織では、ハリスコ・ヌエバ・へネラシオン・カルテル(CJNG)が急速に成長中だ。

 通称“エル・メンチョ”と呼ばれるCJNGのリーダー、ネメシオ・オセゲラ・セルバンテスは、かつて警察官として働いた経験を持ち、CJNG組織のメンバーを軍隊式に統率する力を持っているという。

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 政治家や地元警察、軍隊に資金力でもって影響力を発揮し、僅か10年でメキシコを代表するカルテルのリーダーになった。

 90年代後半から成長しているもう1つの麻薬カルテル『シナロア』のリーダーが、アメリカの刑務所で現在終身刑を受けて収監されいることから、CJNGのエル・メンチョがメキシコの麻薬王となるのではとも言われているが、エル・メンチョは腎不全の他継続的に治療を必要とする重病を患っているということで、長生きは難しいようだ。

【逮捕や暗殺を避けるため、自ら病院を建設】

 エル・メンチョの深刻な腎臓疾患は、隠れ家としているハリスコ州の山の中ではもはや治療は不可能な状況にまでなっている。

 しかし、指名手配中の身であることから、普通の病院に入院すれば逮捕や暗殺も免れない。ということで、彼は安全性の低い医療施設に身を置くよりも、自身の私立病院を建設するという1歩進んだ行為に出た。

 その病院は、ハリスコ州ビージャ・プリフィカシオンの町から50キロほど離れたおよそ200人ほどの住民が暮らすAlcihautlという軍用基地の中に建設された。

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 エル・メンチョが創立者なため、当然病院は組織の息がたんまりとかかっている。しかし、組織メンバーだけでなく、地元住民も使用できる“民間施設”として建てられたようだ。

 CJNGは、パンデミックの数か月中に、更に勢力を増し強力な麻薬カルテルとなった。

 ハリスコ州以外の州でも影響力を高めるために、組織は食料品を含む必要品などを貧しい人々に配っていたことが伝えられている。


【エル・メンチョの情報提供者には多額の報酬も】

 組織犯罪専門家は、エル・メンチョについて次のように述べている。

彼は、シナロアのエル・チャポとは対照的で、表に顔を出したがるのではなく、闇の世界の影の王としてミステリアスに留まりたいという傾向があるようです。

ですが、だからといって彼が他のカルテルリーダーより危険ではないのかというと、そうではありません。

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 事実、警察ではエル・メンチョは常にトップクラスの指名手配犯だ。この麻薬リーダーの逮捕に繋がる重要な情報を提供した者には、1000万ドル(約10億円)という報酬が与えられることになっているという。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:指名手配中のメキシコの麻薬カルテルのリーダー、逮捕されるのが嫌で私立病院を建設 http://karapaia.com/archives/52293228.html
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