
ドイツで昆虫保護のため夜間照明を制限することを検討 A_Werdan/pixabay
地球上の生物の中で、昆虫の数は圧倒的だ。それゆえに生態系のカギを握っており、人間を含む動物や植物に重要な恩恵をもたらしている。
世界の穀物の75%の受粉を助け、土を作るのも昆虫だし、鳥類や小動物の餌になるのも昆虫だ。
だが、昨年「Biological Conservation」に掲載された研究によると、世界の昆虫種の40%が減少、数十年で絶滅の可能性があるという。その原因は気候変動や人間の活動によるものだ。都市化や農業、森林伐採などで生息地を奪われたことが主な要因と見られている。
昆虫の減少を食い止めなければ生態系全体が崩壊する恐れがある。
そこで、ドイツの環境省では、去年2月に「昆虫の保護に向けた行動計画」を発表。多額の予算を拠出し、殺虫剤の使用削減など昆虫保護に尽力する旨を明らかにしていたが、今年8月にも改めて、昆虫の個体数を守るために夜間照明を暗くする法案を検討していることを発表した。『barrons.com』などが伝えている。
【ドイツで昆虫を保護する法案が検討】
ドイツのスベンヤ・シュルツェ環境相は、昆虫の個体数の劇的な減少を抑えるため、年間を通して夕暮れ時の投光照明を禁止する計画をしていることを8月5日に発表した。
同環境相は、昆虫保護のために違法なスポットライトから自然生息地の保護の強化に至るまで、多くの新たな対策を策定。
環境相は去年2月にも国立公園や主要な水域で、5~10メートル以内に除草剤や殺虫剤を使用することを禁止する旨を明らかにしていた。
昆虫は、生態系において重要な役割を果たしている。
シュルツェ環境相はドイツのメディアで、「人間は昆虫を必要としている。昆虫は法律で守られてしかるべきだ」と語っており、果樹園や乾いた生垣が昆虫の自然の生息地として保護されるべきであることを訴えていた。
[画像を見る]
neelam279/pixabay
【夜間照明を暗くして昆虫保護に尽力】
今回、改めて発表された夜間照明による昆虫保護法案は、今年10月までに内閣承認を得ることが期待されているという。
法案が可決されると、屋外でのライトトラップが一切禁止となる。また、サーチライトとスカイスポットライトは、1年で10か月間は夕暮れから夜明けまでの使用が禁じられる。
その他、新しい街灯や屋外照明の設置においては、植物や昆虫、動物への影響を最小限に抑えるような方法を取ることが求められるということだ。
[画像を見る]
Timo Wagner/Unsplash
【除草剤グリホサートの禁止も】
この昆虫保護法で最も注目されているのは、除草剤グリホサートが段階的に禁止されるということだという。
現在、ドイツ自然保護協会は農業大臣に2023年までにグリホサートの廃止をするよう申請しており、農薬使用の全体的な削減に農業省がどのように対処するかが注目されているようだ。
ドイツでは、特に過去1年間昆虫の保護に尽力してきたといえよう。
去年4月には、バイエルン州政府ではミツバチの保護を強化するよう求める住民の嘆願書への署名が、同州史上最多となる175万人分集まり、法として可決されたことが報じられた。
[動画を見る]
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:ドイツの環境省、昆虫保護のため夜の照明を暗くする法案を検討 http://karapaia.com/archives/52293608.html
編集部おすすめ