
歴史的偉業を成し遂げた8匹の猫/pixabay
猫の歴史は古い。今でこそ猫はインターネット上を支配しているが、実は私たちが知る古くから世界各地で活躍し、歴史の本に刻まれるほどの偉業を成し遂げた猫たちも存在する。
今回は、過去にカラパイアでも紹介したことがある猫を含めて、世界的に有名となった8匹の猫を紹介しよう。
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8 Cats That Made History
【1.オーストラリア大陸を船で周回した猫、トリム】
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トリムは、1797年に史上最も優れた航海者と言われるマシュー・フリンダースが船長を務める「リライアンス号」が、アフリカのケープタウンからオーストラリアのシドニーに向かう途中で同乗していたメス猫の出産により生まれた子猫の1匹だったと言われている。
トリムはとても頭がよく、一度は海に落ちたものの、自力でロープをよじ登り船まで戻ったという武勇伝も残っている。
フリンダースにとても可愛がられていたトリムは、1803年に「インヴェスティゲイター号」によるオーストラリア周回旅行にも同行した。しかしその後、行方不明となり結局発見されることはなかったそうだ。
【2.初めて宇宙へ飛び立った猫、フェリセット】
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1963年10月18日、フランス国立宇宙研究センターでは、フェリックスという小さな猫を宇宙へ飛び立たせる手はずを整えていたが、打ち上げ当日その猫の行方がわからなくなり、代わりに選ばれたのがメス猫のフェリセットだった。
10月24日、フェリセットはフランス製液体燃料ロケット「ヴェロニクAG1」でアルジェリア、サハラ砂漠の高度209キロの上空に打ち上げられた。初の宇宙飛行での無重力体験に成功した唯一の猫として15分後に帰還したフェリセットは、体調に異常は見られなかったものの、その3ヶ月後に脳の解剖調査を行うために安楽死させられた。
フェリセットの功績を讃え、銅像建立への呼びかけが2017年から行われていたが、ついに2019年にストラスブールの国際宇宙大学に設置された。
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【3.預言者ムハンマドを守った猫、ムエザ】
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イスラム教信者で預言者のムハンマドは、大の猫好きとして知られており、ムエザという飼い猫をとても可愛がって、礼拝の際にはムエザを膝の上に乗せるのを常としていたという。
ある日、ムエザは毒蛇に噛まれそうになったムハンマドを救ったという逸話もある。自分の命を救ってくれたムエザに対し、ムハンマドはムエザがどこかから落ちても、必ず足から着地できるような能力を与えたとも言われている。
また、ある日礼拝に行こうとしてムハンマドが服を探すと、その袖の上でムエザが眠っていたため、彼はムエザを起こさずに服の袖を切り落とし、片袖のない服で外出したという逸話も伝えられてる。
【4.3度の艦船沈没から奇跡的に生き延びた船乗り猫、不沈のサム】
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第二次世界大戦で、3度の艦船の沈没を生き抜いた奇跡の船乗り猫として知られる「不沈のサム」は、オスカーと呼ばれていた時期があった。
1941年5月27日、ドイツ海軍の戦艦ビスマルク号に乗船していたサムは、連合軍と激戦の末に船が沈没するも、残骸の木切れしがみついて波間に漂っていたところをイギリス海軍のトライバル級駆逐艦「コサック」の船員に発見され、救助後オスカーと名付けられた。
その後、コサックに乗り込むことになったオスカーだが、3か月後にコサックがドイツの潜水艦の魚雷を受けて爆発し、沈没した。しかし、またしてもオスカーは生き延びた。
次なる悲劇は、オスカーが乗船した英国の空母アークロイヤルは、同年11月、ドイツの潜水艦からの魚雷攻撃を受け沈没したことだったが、オスカーはここでも命を落とすことなく救助された。
戦争の時代を激しく生き抜いた船乗り猫は、その後引退し、静かに旅立ったという。
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【5.殺人事件を解決した猫、スノウボール 】
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カナダのプリンスエドワード島に住んでいた一家で殺人事件が起こったのが1994年のこと。5児の母シャーリー・ダグアイさん(当時32歳)が突然姿を消した。
その後の警察の捜査で、シャーリーさんのものとみられる遺体が発見され、事件の容疑者として夫のビーミッシュが浮上。やがて、血の付いたジャケットや靴を隠したバッグが森の中から発見された。
その衣類には、無数の猫の毛のようなものが付着していた。
ビーミッシュはスノウボールと呼ばれる白い猫を飼っており、初めて猫の毛のDNA検査が行われた。するとスノウボールのものと完全一致。
ただ、裁判では他の猫が同じDNAを持っていないことを証明するために、調査班は20匹の猫のDNA検査を行ったところ、それぞれのDNAが大きく異なることが判明した。よって、証拠品についていた毛は間違いなくスノウボールの毛であり、逮捕されたビーミッシュは殺人罪で有罪。15年の禁固刑を言い渡されたという。
【6.人間の死を予期する猫、オスカー】
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アメリカ北東部ロードアイランド州にあるリハビリテーション介護センターの認知症病棟で育ったオスカーは、スタッフと一緒に患者を見回り、においを嗅いだり観察したりすることを習慣としていたが、ある時スタッフはオスカーの能力に気付いた。
オスカーは、患者の死を予期すると、ベッドに飛び乗りそばで丸くなって、患者の死の瞬間まで寄り添うのだ。
オスカーに死を予期された患者は、立ち会われた4時間以内には旅立っていくという。患者の死期が近いことをオスカーの様子で察することができるようになったスタッフは、家族に連絡したりして患者の最期の瞬間への準備に備えることができたそうだ。
2020年までの過去5年間で、オスカーは50人以上の患者の死の瞬間を見届けたという。
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【7. 小学校のマスコット的存在だった猫、ルームエイト 】
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1952年、カリフォルニア州にある小学校に初めて現れた猫は、以降約15年間、お気に入りだった教室「ルームエイト(Room 8)」にちなんでルームエイトと名付けられ、クラスのマスコット的存在として可愛がられた。
学期が始まると姿を現し、休みになるとどこかへ消えてしまうという習慣は、60年代半ばまで毎年変わらず続いたそうだ。
生徒らはルームエイトを愛し、彼の存在はまたたく間に知られるところとなり、多くのメディアがカメラを持って学校に押しかけ、毎日100通以上のファンレターが届くほどの大人気となった。
晩年は学校近くの家に引き取られ、用務員が学校までの送迎をしていたというルームエイト。1968年に旅立った際には、メディアで大きく報じられたということだ。
【8.アラスカ州タルキートナの名誉市長になった猫、スタップス 】
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1997年、アラスカ州タルキートナ地区の雑貨店の駐車場で兄弟猫と共に捨てられていたところを保護された猫は、尻尾がなかったことから店長にスタッブスと名付けられた。
1000人ほどが住むその地域では、選挙で適切な人間の候補者が「不足」しており、住民らは面白半分もあり記名投票でスタッブスを名誉市長に選んだ。以降スタッブスは、同年7月から2015年に引退するまで、実に18年にわたってタルキートナ地区の名誉市長となり、2017年7月21日に20歳の生涯をを閉じた。
市長の事務所としても知られていた雑貨店「ネグリーズ・ストア」は、スタッブスの噂を聞きつけた市内外の猫好きが集まるようになり、人気観光スポットとして注目された。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:宇宙への旅立ち、預言者を守るなど、歴史的偉業を成し遂げた8匹の猫 http://karapaia.com/archives/52293711.html
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