
今月ロシアの原子力部門が長期にわたり機密資料だった世界最大の核爆発映像を公開した。
ネットをざわつかせるその映像は、1961年にソビエト連邦が行った50メガトンの水素爆弾「ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)」の爆発実験だ。
人類史上最大の威力をもち、アメリカの諜報機関に察知されるまで実験自体も極秘だった恐るべき単一兵器。その爆発は身も凍るほどの凄まじさだ。
[動画を見る]The largest nuclear explosion in the world exploded in Russia
【人類史上最大の水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験】
こちらは1961年10月30日にソ連が行った人類史上最大の水爆「ツァーリ・ボンバ」の爆発シーンだ。ツァーリ・ボンバとは通称で「爆弾の皇帝」を意味する。
この爆弾の出力は実験用に50メガトンに制限されていたが、1945年に広島に投下された原子爆弾の3,000倍を上回る威力があった。
当時のツァーリ・ボンバの重量は27トン、全長約8メートルという巨大なもので、これを投下した爆撃機Tu-95は燃料タンクをいくつか外して収容スペースを確保しなければならなかった。
Tu-95に運ばれたツァーリ・ボンバは、北極海に浮かぶセヴェルヌィ島の沖合上空で投下され、地上約4,000メートルで爆発した。
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その爆発は凄まじい威力で、爆心地から120キロメートル離れた場所にも衝撃波が届き、爆風にいたっては約1,000キロメートル離れた場所に届くほどだった。
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また爆発で生じたキノコ雲は高さ68キロメートルまで伸び、半径55キロメートル内の建物が破壊されたと伝えられている。
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【実験の威力は半分だった!?さらなる秘密が明らかに】
上の動画はダイジェスト版だが、詳細版はロシアの原子力産業75周年に合わせて公開された40分の映像で、核の頂点を目指したソ連の歴史としてツァーリ・ボンバの実験が紹介されている。
ロシアの原子力部門を担うロスアトムの映像より
[動画を見る]50 Megaton Tsar Bomba Declassified • Ivan RDS-220 Hydrogen Bomb
もはや狂気の沙汰としか思えない光景だが、当時この実験の裏にはさらに世界を震撼とさせる秘密があった。恐るべきことにこのツァーリ・ボンバは50どころかその倍の100メガトンを念頭に開発されていたのだ。
その事実はのちに明かされたが、実験時に出力を下げたのは領土内の人口密集地に死の灰を降らす懸念があったためで、理論的には100メガトン超の威力を発揮できたとも考えられている。
またこの時期にロシアが実施した核実験はこれだけではなかった。かつてのソ連は1960年代初頭にかけて20~24メガトンの爆弾実験を何度か行っていた。
とはいえツァーリ・ボンバの爆発実験はアメリカやイギリスが実施してきた空中核実験の最後の例だった。ソビエト連邦は1963年に部分的実験禁止条約に署名し、地下を除く空間での核実験禁止に同意している。
References:ladbible / youtube / youtubeなど /written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:ロシアが世界最大の核爆発映像を公開 http://karapaia.com/archives/52294077.html
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