21世紀の風船おじさん。奇術師デビット・ブレインが風船で上空7600メートル飛行にチャレンジ(アメリカ)


 みんなは日本の風船おじさんを知っているだろうか?1992年11月23日にヘリウム風船をたくさんつけたゴンドラに乗りアメリカに行くといったきり、その後現在も消息不明のままだ。

 きっとどこかで生きていると信じたいが、一方アメリカでは、21世紀の風船おじさんが偉業を成し遂げたようだ。

 その人物は、アメリカ屈指の奇術師でエクストリームパフォーマーとして知られているデビット・ブレイン氏である。

 彼はこの度、子供の頃からの夢にチャレンジした。52個のヘリウム風船で、上空24900フィート(約7600メートル)へと飛行したのだ。『New York Post』などが伝えている。
【子供の頃からの夢の実現に10年の歳月をかけて準備】

 今年8月、奇術師デビッド・ブレインは子供の頃からの夢をついに実現させた。

 それは、風船の束で空を飛ぶというもので、8月31日にブレインはアリゾナ州の砂漠の上から24900フィート(約7600メートル)の上空まで飛び、その後無事に着地に成功した。

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 このスタントを完成させるために、実は10年もの月日を費やしたという。米メディアのインタビューで、ブレインはこのように語っている。

フランスのファンタジー映画『赤い風船』を見て魅了されました。

12年前には、友人が私が飛ぶ姿を絵に描いてくれました。風船の束で飛ぶことは、子供の頃からの私の夢でした。

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 しかし、実際にそれを実行することは想像以上の複雑さ、入念な準備を要する。

 そこで、ブレインはプロのスカイダイバーと共に、これまで500ものスカイダイビングにチャレンジし、風船から自身の体が離れた後に無事に着地できるよう訓練。その過程で、プロのスカイダイバーの免許を取得した。

 また、熱気球の操縦免許も取得し、風のパターンを読み取る方法を研究。更には、上昇中に体内が低酸素状態になるのを回避するため、血液酸素飽和度を監視する必要性を学び、ベストな状態でスタントへの挑戦を試みた。

【52個のヘリウム入り風船で空へ飛ぶ】

 チームと共にこのスタントに挑んだブレインは、自身の体重とカメラ機材など約90kgの重量を支えるためのヘリウムガスを充てんした直径約2.4メートルの風船42個と、直径1.2~1.8メートルの小さめの風船10個を用意した。

 スタントの1日前、ブレインは自身のTwitterでチーム一同に感謝し、スタントへの興奮を語っている。


 当初、ニュージャージー州からニューヨーク市まで、ハドソン川を渡ってスタントを完成させる計画を立てていたが、風が予測不可能であったことから、その計画は破棄となり、アリゾナ州の砂漠から出発することとなった。

 幼い頃からの夢を叶えるという以外に、常に無謀なスタントに挑んできた自分を見る娘に、恐怖ではなく感動を与えたいという思いがあったブレインは、その娘デッサちゃん(9歳)と地上チームが見守る中、風船で空を飛んだ。

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【「本当に素晴らしい経験だった」とブレイン】

 1人で空へと飛び立ったブレインは、音声リンクを介して地上チームと連絡を取り合った。

 ガスの詰まった風船は、毎分約152メートルのスピードでぐんぐん上昇し、高度約2440メートルに達した時、ブレインはパラシュートの着用準備を始めた。

 そして、上空の気温がマイナス9.4度を記録した時には酸素ボンベを装着。高度6600メートルにもなると気温がマイナス17度に下がったが、ブレインはもう少し上昇を続け、高度約7600メートル(24900フィート)になった時点で、風船を手から離し、パラシュートで落下を試みた。

 上昇してから1時間以内に、ブレインは無事、地面に着地成功することができた。

 YouTubeオリジナルで配信されているこちらの動画では、1時間50分辺りから上昇スタントが始まっている。

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David Blaine Ascension

 「素晴らしい経験だった」と語るブレイン。次回はどんなパフォーマンスで私たちを驚かせてくれるのだろうか。

 そして日本の風船おじさんは今どこに?

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:21世紀の風船おじさん。奇術師デビット・ブレインが風船で上空7600メートル飛行にチャレンジ(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52294315.html
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