
歴代のローマ皇帝の顔を彫刻から復元 image credit: Daniel Voshart
カナダ・トロントを拠点とする撮影監督およびデザイナーのダニエル・ヴォシャール氏は、コロナ自粛期間中に興味深いプロジェクトを行った。
かつてローマ帝国を支配した54人の皇帝たちを、AIを使用して彫刻や胸像から復元し、肖像画にするというものだ。
完成したカラーの肖像画は、時代を生きたリアリティのある人間として彼らをより身近な存在にしてくれた。『Live Science』などが伝えている。
【54人のローマ皇帝の顔を彫像から復元】
プリンキパトウス時代(紀元前27年~西暦285年)にローマ帝国を支配した皇帝たち。彼らは普段、各国の美術館で胸像や彫像としては不滅な存在だが、肖像画としては馴染みがない。
そこでこヴォシャール氏は、コロナの自粛期間中、新たなプロジェクトとして、彫像から復元した写実的でリアリティのある彼らの顔の肖像画を作成した。
What did I do during quarantine? 54 Machine-learning assisted portraits of the Roman Empire.
— Dan Voshart (@dvoshart) July 24, 2020
For this project, I transformed or restored (cracks, noses, ears etc.) over 800 images.https://t.co/yQWWIgfvjJ
カラー化された肖像画により、単色の彫刻だけではよくわからなかった、生前の皇帝たちの人物像が、より明確に視覚化された。
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【ニューラルネットワークツールを使用し、フォトショで微調整】
ヴォシャール氏は54人の皇帝たちの肖像を作成するために、胸像や彫刻、硬貨、その他の歴史的資料を800点以上収集。
可能な限り正確になるよう、同氏は損傷が少なく標準的な顔の特徴を備えた、光がよく当たっている明るい胸像の画像などを使用し、偏ったソースの影響は全て排除したという。
次に、人工知能アルゴリズムの一種である、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いたニューラルネットワークツール「Artbreeder」と画像編集ソフト「Photoshop」を使用し、各皇帝の複数の顔の表現を組み合わせ、必要に応じて微調整を行った。
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ヴォシャール氏は、自身のTwitterで「各肖像は、あくまでも芸術的な解釈であり、常に間違いの余地がある」ことを強調しているが、完成した肖像画はいずれも生前の皇帝たちを身近に感じさせてくれるほどには、リアリティを帯びている。
■皇帝ネロ
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■皇帝ハドリアヌス
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■皇帝カリグラ
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■皇帝アウグストゥス
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■皇帝マクリヌス
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■皇帝ディアドゥメニアヌス
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中には、歴史的にあまり深く知られていない皇帝も含まれているが、イギリス北部に長城を築いた第14代皇帝ハドリアヌスや、狂気じみた独裁者として悪名高かったカリグラ(第3代皇帝)やネロ(第5代皇帝)は有名であり、色が備わった肖像画は、まるで命を吹き込まれたかのように生き生きした出来栄えとなっている。
【ローマ皇帝に関する知識がなかったことが、先入観や偏見の排除に】
54人の皇帝全ての歴史的資料を追跡するのに約2か月、そして各肖像画を組み立てるのに平均15~16時間を費やしたというヴォシャール氏は、自身のブログ『Medium』でこのように述べている。
プロジェクトを開始した当初は、古代皇帝についての知識はほとんどゼロに近かった。だが、知らなかったことが逆に先入観や偏見を持たず取り組めることに繋がった。
個性の側面を知ることは、時に過度に芸術家に影響を与えてしまう可能性がある。私は、生きた1人の人間としてのリアリティを追求することだけを目的に肖像画を制作した。
現在、ヴォシャール氏は大手クラフト通販サイト『Etsy』にて、これらの肖像画を縦約70cm×横約91cmの絵画に収めて販売中であり、送料別途で日本にも配送が可能ということだ。
Print (24x36in) Roman Emperors - The Principate
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written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:これは興味深い。歴代のローマ皇帝の顔をAIを使って彫刻から復元 http://karapaia.com/archives/52295287.html