アメリカの警察官のうち、4人に1人が精神疾患を抱えていることが判明(米研究)

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 時に命をも賭ける危険な現場や困難に直面する警察官。犯罪解決に日々尽力する彼らは、見えないところで多くのストレスや精神的な問題を抱えているようだ。
 
 
 アメリカのテキサス州にあるテキサス大学ヒューストン医療科学センターが、同州ダラスフォートワース地域に所属する警察官を対象にメンタルヘルスのスクリーニングテストを実施したところ、警察官の25%(4人に1人)が精神障碍の症状を抱えていることが判明したという。この研究は『JAMA Network』に掲載された。
【メンタルヘルスのスクリーニング検査を446人の警察官に実施】

 テキサス州テキサス大学ヒューストン医療科学センターの研究助手アライナ・M・ボーシャン氏は、コロナパンデミック前、BLMが始まる以前の、2020年1月1日~2月27日の間、同州ダラスフォートワース地域に所属する警察官446人にメンタルヘルスのスクリーニングテストを実施した。

 調査対象は、全ての人種を含む男女警察官446人で、回答率は434人(97%)。

 その結果、回答した者のうち、4人に1人(25%)が何らかの精神疾患を抱えていることが判明した他、「生涯にわたり精神障碍を抱える傾向がある」と診断された警察官は12%という深刻な事態が明らかになった。

 また、特に30代男性警察官の比率が高かったこと、5年~15年のキャリアを持つ警察官のうち、キャリア年数が長ければ長いほど精神疾患を抱える傾向が強いこともわかった。

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【過去1年に治療を受けた警察官は20%未満】

 10月7日に発表された調査結果では、アメリカの主要都市の警察官の25%が、うつ病や不安神経症、PTSD(心的外傷後ストレス障碍)、自殺(自傷)願望などの精神疾患を抱えているにも関わらず、治療を求めたのはわずか17%だったことが報告された。

 今回の研究において論文をまとめたボーシャン氏は、これらの調査結果について次のように述べている。

メンタルヘルス障碍の症状を経験した警察官の多くは、それを周囲に打ち明けることにかなり強い抵抗を感じています。

もし、精神疾患を抱えていると知られれば、秘匿義務を守れないのではないか、警察官として不向きではないのか、と周りに判断されることをとても恐れているからです。

また、治療を求めた警察官の中には、メンタルヘルスの専門家は警察官という職業上のストレスを十分理解していないと不満を訴える人もいます。

彼ら警察官は、危険や困難な状況に直面し、その解決に尽力しますが、彼らが抱えるストレスは多大で、何年何十年と蓄積されていきます。


法執行機関の間では、精神疾患の症状に対する認識が欠如していることにくわえて、ケアに対する実質的な障壁もあります。

警察官という重要な職業柄、精神疾患を体系的に特定し、より広範なスクリーニング方針を通じて、効果的な治療と監視プログラムが実施できる適切な医療サービスを紹介する差し迫った必要性があるといえるでしょう。

 なお、『BMJ Journal』によると、「警察官の精神的健康問題においては、実質的な健康問題として4人に1人が危険なレベルでの飲酒の可能性があり、7人に1人がPTSDとうつ病の基準を満たしていると国際的な研究データ分析が示している」としており、一般大衆よりも警察官のメンタルヘルス問題のリスクが高いことを示唆している。
 
written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:アメリカの警察官のうち、4人に1人が精神疾患を抱えていることが判明(米研究) http://karapaia.com/archives/52295496.html
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