いまだ前人未到の地球にある10の場所

地球上にある前人未到の地10/iStock
 技術を発達させ、古き良き時代の不屈精神をつぎ込んで、人類は地球上のあらゆる大陸、島、砂漠、森林、氷原など未開の地に分け入ってきた。もう行き尽くしたようにも思えるが、果たして本当にそうだろうか?

 人類がいまだ足を踏み入れたことのない、詳しく調べられていない場所はまだまだある、と聞いても驚かないかもしれない。


 確かに地球のほとんどはもう調べ尽くされているが、未調査の広大な荒野、未登頂の山頂もまだ残っているし、誰も足を踏み入れたことのない洞窟も多い。そして、海底のほとんどが、人類にとって未知の世界のままなのだ。
【10. ムチュ・チッシュの頂上(パキスタン)】

[画像を見る]

 カラコルム山脈のバトゥーラ・ムスターグ山脈に属する標高7,452メートルの山、ムチュ・チッシュ。今日に至るまで誰もこの頂上を極めた者はいない。

 2014年、イギリスの登山家ピート・トンプソンが挑戦したが、最後の1453メートルをロープなしで登らなければならず、硬い氷に阻まれて、結局6000メートル付近で登頂を断念した。

 トンプソン以前には、スペイン隊が6650メートルまで登ったと言われているが、この山の頂上に正式に到達した者は誰もいない。

 パキスタンには、7000メートル以上の山が108座あり、そのほとんどは40~50%が氷河に覆われているカラコルム山脈に属する。

 山脈域は非常に広大で、中国、インド、パキスタン、果てはアフガンスタン、タジキスタンの国境まで広がっている、近づくのすら大変な山塊だ。カラコルム山脈は、世界でももっとも地質活動が活発なエリアのひとつで、この一帯はインド・オーストラリアプレートと、ユーラシアプレートがぶつかってできた。

【9. 海底のほぼ大半】

[画像を見る]

 地球の海の底はあまりにも広く、人類がまったくといっていいほど足を踏み入れていない未知の世界だ。衛星によって、海底のほぼ全域の様子はおぼろげにわかっているが、80%以上がまだ実際に調査されておらず、高解像度でのマッピングがされていない。

 かのジェームズ・キャメロン監督が、有人深海探査艇でマリアナ海溝のチャレンジャー海淵を探索した。
チャレンジャー海淵は深さ1万920メートル、地球の海底の最深部だと考えられていて、キャメロンは1万908メートルまで潜って世界記録を作った。

 深海が未踏なのは、とてつもない水圧のかかるこの過酷な環境にも、びくともしない頑丈な乗り物を開発するのが困難なためだ。マリアナ海溝の最深部の水圧は、1平方インチあたり8トン。人間の体など簡単にぐしゃぐしゃに押しつぶされてしまう。

 このチャレンジャー海淵に初めて人間が挑戦した50年以上前は、深海は生物のいない荒涼とした泥の世界だと考えられていたが、実はまったく正反対で、多様な生物が命を謳歌していることがわかった。人類がこの未知の領域をもっと探索することができたら、新たな微生物や未知の生き物を見つけることができるかもしれない。

【8. ノーザン・フォーレストの多く(ミャンマー)】

[画像を見る]

 どこまでも続く南アジア最大の荒野のひとつであり、低地林や針葉樹の生い茂る湿地帯が広がっている。ミャンマー北部の森林限界以北には、雪をかぶった険しくも雄大な山脈が連なる。

 この地域は南アジアの多様な生態系を誇り、多くはまだまだ手つかずのままだ。トラやゾウ、鳥類などのさまざまな種が、この多様性を担っていると考えられている。

 森林の中心1万3679キロメートル四方は、世界最大のトラの保護区になっている。

 森の中にはほとんど人は住んでいないが、境界周辺には内陸や海岸付近に100万人が暮らしている。


 森の大部分は環境保護のもと守られているが、こうした規制の多くは有名無実化していて、専門家たちはこのエリアの継続的な生物多様性の未来が危ぶまれる可能性があると懸念している。中国による希少動物の密猟、違法な取引が相変わらず問題になっている。

【7. ナミブ砂漠の内部】

[画像を見る]

 アフリカ、ナミビアにある地球上でもっとも過酷な場所。現在、最古の砂漠だと考えられている。その酷暑と極度に乾燥した環境には、ほとんど人が住むことはできない。

 北西部にあるスケルトン・コーストは、白い砂浜が広がる美しい海岸だが、浜のあちこちに古の難破船が放置されている不気味な場所でもある。まるで、なにも知らずにのこのこやってきた不注意な旅人たちに、砂漠の危険を警告しているかのようだ。

 それでも、ナミブ砂漠やスケルトン・コーストにはさまざまな動物が生息している。ヒヒ、ヒョウ、チーター、カッショクハイエナやブチハイエナ、カバなどが見られることがある。

 この地域で実際に人の往来があるのは、重要な交易路があるためだ。

【6. ソンドン洞窟(ベトナム)の内部】

[画像を見る]

 1990年、地元の農夫ホー・カーンが、ジャングルの中で嵐を避ける避難場所を探していたとき偶然発見した。

 石灰岩の巨大な穴があって、そこから蒸気のようなものがあがり、勢いよく流れる川の音が聞こえてくるのに気づいたという。
カーンはなんとか嵐をやり過ごしたが、ジャングルから出る道がわからなくなり、その後、この洞窟の場所は18年間もわからなくなっていた。

 2008年、カーンは猟の途中で再びこの洞窟の入り口を発見した。洞窟は、長さ5キロ、天井までの高さは200メートルで、世界最大と言われている。

 イギリスのダイバーグループが初めてここを探検したが、適切な機材が足りなかったため調査を続けることができず、洞窟の全貌を詳細につかむことはできなかった。

 この洞窟は、局地的な気象状況が特徴的な独自の生態系が存在している。極めて珍しい石灰石のケイブパール(鍾乳洞の中でカルシウム炭酸塩が沈着して生成する洞窟生成物の一種)があちこちにできていて、80メートルという驚異的な高さの石筍も存在する。

 稀有な生態系を守るため、人はこの洞窟に入ることは許されていないため、ほとんどがまだ探索されていない。今、考えられているのよりも、もっと規模が大きい可能性があるという。

【5. サハ共和国の内部(ロシア)】

[画像を見る]

 ロシアの世界最大の行政区画地、サハ共和国は、凍りついた荒れ地で、その永久凍土の下には大古に絶滅した生物が眠っている。

 冬には気温マイナス43.5℃にもなり、夏でも19℃までしか上がらない。世界でももっとも人口の少ない場所のひとつで、国がいくつも入るほどの広大な面積に対して、人口は100万人も人いない。

 ロシアの言い伝えがある。
神が地球の宝を持って、この広大な凍った土地を飛び越えようとした。ところが、ものすごく寒かったので、神の両手は凍え、持っていた宝をサハ共和国の上で落としてしまったという。そのおかげか、確かにここは天然資源の宝庫で、ロシア国内のダイヤモンドの82%、ゴールドの17%、ウランの61%、鉄鉱石の5%を産出する。

 なにもない広大な荒野のほとんどは、人間が足を踏み入れたことのない未踏の地がほとんどになっている。

【4. ガンカー・プンスム山(ブータン)】

[画像を見る]

 いまだ未登頂の世界でもっとも高い山だとされていて、その山頂に立った者はいない。この山頂はブータンの人たちにとって神聖な場所で、人が入り込むことは厳しくタブーとされている。

 1994年から、ブータンでは6000メートル以上の山への登山は地域の宗教信仰に反するとして禁止され、2003年からは登山は完全に禁止されている。

 だが、条令やタブーがあっても、すべての人を止めることはできない。山の一部が中国との国境を越えて延びているため、1998年に日本の登山隊が登山許可を得ようとしたが、ブータンの怒りをかった政治的事情によって、未知の山を探索するこの登山は断念せざるをえなかった。いまだにこの山は未踏のままだ。

【3. カルジャンⅠ峰(チベット)】

[画像を見る]

 まるで小惑星がぶつかって巨大なクレーターができ、鋭く尖った山頂がにそのまわりを取り囲んでそびえたってるように見える氷の山。

 チベットのほかの山と同様、人間を寄せつけない途方もない景観だ。
標高7221メートル、チベット自治区の中のブータンと中国の国境近くにあるこのカルジャンⅠ峰は、未踏の最高峰のひとつ。

 2001年、オランダ隊によるアタックは、天候悪化のため、途中で断念。6820メートルまでは到達していたため、カルジャンⅢ峰を制覇しただけで下山した。

 1986年、新郷信廣率いる日本のパーティが、カルジャンⅠ峰登頂に成功したと言われているが、カルジャンⅡ峰の可能性が高い。

 カルジャンⅠ峰が困難なのは、斜面で雪崩が起きやすく、絶え間なく変わる天候のせいで、アタックの最中に次にどんな状況になるのかほとんど予測できないことだ。

【2. グリーンランド北方】

[画像を見る]

 グリーンランドは世界最大の島。氷河や氷に覆われた山々がギザギザの刃のようにそびえたっている。デンマークの自治区で、人口は5万8000人未満。ほとんどが人が住むのに適していない。

 手つかずの光景は、およお38億年前にさかのぼる歴史があり、ここに足を踏み入れることのできた数少ない旅人は、氷河に覆われた巨大な山頂と、さまざまな風景を目の当たりにして、地質時代がいかに独特なものに見えるかを語る。

 2005年、極地の氷が溶けて、新たな島々が姿を見せ始めた。グリーンランドは、1世紀ほど前に初めて地図化されたときには識別されていなかった島だ。


 大きな島につながる新しい島の発見は、気候変動がこのまま続けば、明らかになるであろう多くの秘密のひとつだ。地球温暖化によって、グリーンランドの大部分を覆っている氷河が溶けてしまう可能性があると、研究者は非常に危惧している。

 最大の見どころは、ヤコブスハブン氷河。地球上のどの氷河よりも速い、1日に30メートルという驚異的なスピードで動いている。

 この氷床は、あのタイタニック号を沈めた氷山の源だと考えられている。

【1. 北パタゴニア(チリ)】

[画像を見る]

 北パタゴニアの広大な荒野は、温帯多雨林、氷河、フィヨルド、そして温泉の宝庫で、ほとんど人が住んでいない。

 アルゼンチンのロス・グラシアレスや、チリのトーレス・デル・パイネなどの国立公園は観光の中心で、そのまわりにはまだまだ未踏の地が広がっている。

 多くの観光地は観光客にアピールするため、その地域の魅力を喧伝しているが、平均的なハイカーの安全性は、どのトレイルを選ぶかによって大きく変わってくる。ここには人間にとっては過酷な地帯が広がっており、熟練の探検家でさえ、この地を進むのは難しい。

 アイセン地区は、傾斜の厳しい氷河、複雑な地形をつくる広大なフィヨルド、驚くほど青い洞窟、熱い蒸気を噴き上げる危険な熱帯雨林が特徴だ。ここにたどり着くには、アウストラル高速道路(7号線)を行くしかない。

 どこまでも続く氷の平原は、北極圏の風景に匹敵し、正確なマッピングをするのが非常に難しいことがよくわかる。

References:https://www.toptenz.net/10-places-where-people-have-never-been.php/ written by konohazuku / edited by parumo
追記(2020/11/15)本文を一部修正して再送します。

記事全文はこちら:いまだ前人未到の地球にある10の場所 http://karapaia.com/archives/52295964.html
編集部おすすめ