マルチタスクなメディアの使い方をしていると記憶力が低下する / Pixabay
高機能なデバイスが身の回りにあふれている現在だ。テレビを見ながら、インスタをチェックし、ついでにラインに返信するなんてことはもはや日常だろう。
だが、もしあなたがまだまだ脳が発達段階にある若者ならば、そうしたことには少し慎重になったほうがいいかもしれない。
『Nature』(10月28日付)に掲載された研究は、メディアのマルチタスクは記憶力を低下させることがあると警鐘を鳴らしている。
【映像に登場したものを記憶しているかを探るテスト】
米スタンフォード大学の研究グループが、18~26歳の比較的若い人たち80名を対象に行なったのは、次のような実験だ。
まずパッパッと連続的に物体が映し出される映像を眺めてもらう。さらに映像を視聴してから10分後に、再度別の似たような内容の映像を観る。2本目の映像は、1本目の映像に登場した物体も登場するのだが、違うものも登場する。
2本目の映像を観終わった後、そこに登場した物体は最初の映像に登場したか? それに比べて目障りではなかったか? 大きさは違ったか? といった質問がなされた。
研究グループの狙いは、参加者が最初の映像の内容を覚えていたかどうか知ることだ。
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【メディアのマルチタスクが記憶力を低下させる】
この実験では、ネットをしながらテレビを観たり、宿題をやりながらメッセージに返信をしたりと、複数のメディアを同時に使う習慣、すなわち、マルチタスクの頻度についても質問されていた。
その回答と映像の実験の結果を照らし合わせると、マルチタスクをよくやる人ほど、記憶力が悪い傾向にあることが明らかになったという。
そうした人は、最初の映像に登場した物体を初めて見るものと回答したり、2本目の映像にしか登場しない物体を最初の映像に登場したと回答したりと、間違いが多かったとのことだ。
なお実験では、参加者の脳波と瞳孔の拡張も観察されていた。
こちらの観察結果からは、マルチタスクをよくやる人は、目の前の物体を前の映像と比較しようとするその瞬間、注意力が途切れやすいことが判明したとのこと。
研究グループによれば、これはそうした人の「エピソード記憶」(過去の出来事の記憶)が衰えており、注意力を維持する力も低下していることを指し示しているという。
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【コロナ禍によるオンライン授業の影響は?】
複数のメディアの同時利用が若い人に与える影響は、徐々に明らかになりつつある。これまでの研究では、マルチタスクが実行機能や目標設定能力の低下につながることが示唆されてきた(たとえば2016年や2014年の研究)。
特に懸念されるのはまだ成長途中にある学生といった若い人たちへの影響だ。現在の学生たちはコロナ禍のおかげでオンラインでの学習を強いられており、さまざまなメディアをいじりやすい環境にある。
テレビを観ながらや音楽を聴きながらといった、いわゆる”ながら勉強”の是非については昔から議論があったが、最近ではそこにネットやスマホの利用も加わったということだ。
ただし現時点では、マルチタスクが若い人たちの脳に与える長期的な影響など、分かっていないことも多く、本当のところはどうなのか早く確認するべきであると専門家はうながしている。
Memory failure predicted by attention lapsing and media multitasking | NatureReferences:popsci/ written by hiroching / edited by parumo
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2870-z
記事全文はこちら:SNSに動画にネットサーフィン、メディアを同時に複数利用するマルチタスクな人は記憶力が低下しやすい(米研究) http://karapaia.com/archives/52296150.html











