地球最強生物クマムシの新種、紫外線を青い蛍光に変え無害化する能力を持っていた(インド研究)

紫外線を青い光に変換して体を防御するクマムシの特殊能力 /iStock
 ここでいうクマムシは、特別なスープをあなたにあげる方(古ッ!)ではなく、どんなに過酷な環境下でも生き延びることができる地球最強生物の方だ。

 ポテっとしたクマのような見た目から「クマムシ」と呼ばれる小さな緩歩動物は、マイナス270度以下の超低温や150度の高温に耐え、真空にも負けず紫外線にも放射線にもへこたれない。


 インドで発見された新種も驚異的な生命力を誇るが、特にすごいのは、紫外線を青い光に変換して身体を防御する特殊能力を持っていることだ。
【殺菌用UVランプを照射しても死なない新種のクマムシ】

 驚異的な生命力を誇るクマムシだが、それほどまでの強靭さを発揮できる体の仕組みはほとんど知られていない。

 その謎を解明するべく実験を行なっていたインド理科大学院の研究グループは、大学キャンパス内のコケむした壁で発見した新種のクマムシ(Paramacrobiotus tardigrade)を殺菌用のUVランプで15分ほど照らしてみた。

 それだけ照らされれば、大抵の微生物なら死に絶え、人間の皮膚も損傷を受ける。しかし新種のクマムシは、何事もなかったかのように平然としていたという。

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地球最強生物の異名をもつクマムシ / Pixabay
【蛍光色素で紫外線を青色の光に変換し身を守っていた】

 このクマムシがなぜ紫外線に耐えられるのか?、その理由はしばらく謎だったが、ある日偶然にもその謎が解明されたそうだ。

 蛍光を可視化するために使われるUVトランスイルミネーターの中で、すりつぶしたクマムシが青く光っていたのだ。

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紫外線で青く光る新種のクマムシ(Paramacrobiotus tardigrade) image by:Harikumar R Suma
 クマムシの蛍光の強さは個体によってそれぞれ異なっており、光が強いほどに紫外線に対する抵抗力も強いという。紫外線で1時間照らしてみたところ、強く光る個体は6割が30日以上生存したが、光が弱い個体は20日以内に死んだそうだ。

 新種クマムシの体内に含まれている蛍光分子は、高エネルギーの光を吸収すると、それをより低いエネルギーの青色光に変換して蛍光を発する。こうすることでクマムシは有害な紫外線から身を守っているものと推測されている。

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新種のクマムシの驚異的な紫外線耐性は、通常の光の下では赤茶色に見える斑点に隠されているらしい。
その色素が紫外線を吸収し、無害な青い光に変換すると推測されている
新種のクマムシ(Paramacrobiotus tardigrade)image by:Harikumar R Suma
【ほかの生物の紫外線対策にも利用できる可能性】

 研究グループはさらに、新種のクマムシから蛍光色素を抽出し、それを混ぜた溶液に、紫外線への対抗力がないクマムシの仲間や回虫を浸してみた。するとどちらも紫外線に対する抵抗力が増すことが判明したという。

 自然界には蛍光を発する生物がいくつも存在しているが、そもそもなぜそのようなことをしているのか、はっきりとした理由はよく分かっていない。

 クシクラゲやサンゴのような動物が蛍光色素によって紫外線から身を守っているという説は、以前から提唱されているが、これまでそれが実験によって証明されたことはなかった。

 しかし、今回の結果を見る限り、新種クマムシの紫外線耐性の秘密は、この蛍光色素にあると推測することができるようだ。

 ちなみに研究グループによると、こうした光を操る能力は、夏場には強烈な日差しがさす南インドの環境で生きるために編み出されたのではないかとのことだ。小さな生き物であっても夏の紫外線対策には余念がないようだ。

 もしかしたら人間の日焼け止めも、クマムシさん由来の物が将来登場しちゃったりするのかもしれない。ブラックライトの下にいくと顔が青く光っちゃうかもだけど。

References:This tardigrade's blue glow gives protection from ultraviolet light | Science News/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:地球最強生物クマムシの新種、紫外線を青い蛍光に変え無害化する能力を持っていた(インド研究) http://karapaia.com/archives/52296563.html
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