エベレスト山、ちょっとだけ高くなる。「8848.86m」とネパールと中国が合同発表

エベレスト山が86cm高くなる mlproject/pixabay
 山の高さがいつも一定とは限らない。何度も計測されその都度訂正されていくのだが、世界最高峰と言われるエベレスト山はほんの少しだけ高くなったようだ。

 12月8日、ネパールと中国は、両国境に位置する世界最高峰エベレストの標高が、新たな両国の測量に基づいて「8848.86m」であることを公式発表した。
【世界最高峰のエベレストの新しい高さは8848.86メートル】

 中国とネパールの国境に位置し、多くの熟練した登山家の憧れのゴール地点でもある世界最高峰エベレストには、毎年何百人もの登山者が両国から登頂にチャレンジしている。

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 これまで、同山の標高は8848メートルとネパール側は公式発表していたが、中国側は2005年の再測量時には、ネパール側の測量数値より4メートル低い8844メートルであると公式発表しており、この高さにの違いは山頂の氷雪部分を含むか否かによるもので、両国間に論争が絶えなかった。

 今回の新たな発表においては、ネパールは昨年、中国は今年にとそれぞれ測量チームを登頂させていたが、去年に中国の習近平首相がネパールの首都カトマンズを訪問した際に、ネパール側が合同発表に合意したという。


【ネパールの大地震で山が縮小した可能性を考慮し再測量】

 山は、構造プレートが移動するため、実際には時間の経過と共に標高が高くなる可能性があり、1世紀ごとに約0.5メートル成長すると言われている。

 しかし、2015年のマグニチュード7.8を記録したネパール大地震では、山間部で激しい雪崩が発生。

 山のベースキャンプの一部が埋没する事態を引き起こしたことで、主にカトマンズの北側に位置し震源近くだったランタンヒマラヤなどの山頂が、地震後には1メートルほど低下していることがわかり、エベレストも縮小した可能性が高いとして新たな測定を実施することにしたようだ。

 そこで、2019年春、2年にわたり訓練を受けたネパールの測量チーム4人と山岳ガイドが、現地時間3時という厳しい寒さの中での山頂へ向けての夜間登山を敢行した。

 主任測量士は、この時凍傷を起こし、足のつま先を失った。しかし最高峰を測量することは大きな成果を意味することであり、ネパールの調査部門スポークスマンは「我が国が独自で測定を試みたことはこれまでなかったことであり、今回の調査はネパールにとって歴史的な成果だ」と述べた。

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【衛星データと三角法で測量】

 一方、中国の測量チームは今年5月に山頂まで到達。コロナのパンデミックにより山が閉鎖された後登山した唯一のグループとなった。

 両国の測量チームは、それぞれ衛星データと三角法を使用して測量。専門家によると、同時に測量していないため微妙な誤差は避けられないようだが、最も正確に近いと思われる最確値が8848.86であり、今回の公式発表に至ったというわけだ。

 エベレストの標高が変わるのは、今回が初めてではないように、おそらく最後でもないだろう。しかし、ネパールと中国の両国が尽力した測量によって新たな記録が打ち出されたという事実は、やはり大きな歴史的成果であるといえよう。

 ちなみに日本最高峰の富士山だが、江戸時代に伊能忠敬が測った高さは3928メートル。地上での距離と方位、見上げた角度から計算したそうだ。

 その後何度も測量が繰り返され、現在は3775・51メートルとなっている。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:エベレスト山、ちょっとだけ高くなる。「8848.86m」とネパールと中国が合同発表 http://karapaia.com/archives/52297286.html
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