登山家たちがエベレストに廃棄された8.5トンのゴミを大清掃

エベレストの大量のゴミを清掃した登山家チーム Simon/pixabay
 今月、ネパールと中国により、世界最高峰エベレストの標高が8848.86メートルとなったことが公式に発表されたが、熟練した登山家たちを魅了してやまないエベレストだが、実は数十年前から商業登山が盛んになったことで、ごみを片付けずそのまま山に放置して下山する登山者が増加しているという。

 普段は山岳ガイドとして活躍し、アルピニストの女性はチームと大規模なクリーンアップ組織を設立。
2016年からエベレストのゴミ収集に使命を燃やし、これまでに8.5トンのゴミの回収に成功した。
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Marion Chaygneaud-Dupuy - 1ere laureate - Prix Terre de Femmes - France 2019

【エベレストの清掃プロジェクトを設立したアルピニスト】

 世界をより良い場所にしたいと願い、その目標のために日々努力している人は少なくない。マリオン・シェイナードーデュピュイさん(39歳)もその1人だ。

 マリオンさんにとって、自然は幼い頃からいつも身近な存在だった。森や山、川で遊ぶことが大好きだったマリオンさんは、自然こそ自分が生きていると感じさせてくれる人生の重要な一部であると信じてきた。

 大人になってインドとチベットを旅し、過去17年間山岳ガイドとして活躍しているエコ活動家のマリオンさんは、これまでに3度エベレストへの登頂経験があったが、過去30年間で山の状態が大きく変化したことを実感した。

特に2013年に登頂した時、山が被害を受けていることに気付きました。10トン近くの廃棄物が山に放置されたままになっていることを知り、大きなショックを受けました。

 マリオンさんは、自分のように自然を愛する他の人たちにも山で最高の経験をしてほしいという思いから、2016年に『クリーン・エベレスト・プロジェクト』を立ち上げた。

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【エベレストから8.5トンの廃棄物を回収】

 プロジェクトを設立した後、マリオンさんは地方自治体に支援を要請。地方自治体にヤクを50頭提供してもらい、山からのゴミをヤクに積んで降ろす作業を続けた。

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 マリオンさんとプロジェクトのチームは、3年余りにわたって大規模なクリーンアップを行い、これまでに8.5トンのゴミを山から回収することに成功した。


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 この功績が認められたマリオンさんとチームは、『Fondation Yves Rocher』で2019年に‘Terre de Femmes’賞を受賞した。

 同サイトの中で、マリオンさんはこのように語っている。

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8.5トンのゴミは、山の全ての廃棄物の4分の3に過ぎません。私たちの使命はまだ始まったばかりです。エベレストからゴミを全て回収する作業が終われば、次はヒマラヤ山脈全体のゴミ回収に移動する計画を立てています。

ヒマラヤの汚染は、中国とインドの渓谷に住む約20億人もの住民の飲料水の質に大きな影響を及ぼします。山を綺麗にすることは、自然を保護することだけではなく、人の生活の質の改善にも深く関わってくるのです。

 なお、メディアが伝えるところによると、エベレストの至る所には登山者が捨てていった空き缶やプラスチック、蛍光色のテント、登山用具などが散乱した状態になっているという。

 マリオンさんチーム以外にも自然を愛するアルピニストらが一丸となって、エベレストに廃棄された大量のゴミを回収する清掃作業を繰り返し行っている。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:登山家たちがエベレストに廃棄された8.5トンのゴミを大清掃 http://karapaia.com/archives/52297614.html
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