
トルクメニスタンの地獄の門/iStock
「人間だもの」という言葉は、あらゆる罪の言い訳をするときに使われるフレーズだが、ときに人間は、取り返しがつかない間違いを犯すことがある。
1971年に起きた過ちのひとつが、油田開発における周辺地盤の耐荷重能力の誤算だった。重機が持ち運ばれ作業現場が作られたが、その重みに耐えかねて地面が落下した。
その地下には、天然ガスが充満する巨大な空洞が広がっており、ガスの拡散を防ごうと火をつけたところ、その後50年間、いまだに火は燃え続けている。
【地盤が崩壊しガスが充満した巨大な穴が出現】
現場は、トルクメニスタンのカラクム砂漠。1971年当時はまだソ連の一部だった。ソ連は油田を探していて、この砂漠に埋蔵量豊富な有望な油田があるとあたりをつけた。
技術者たちは、巨大な重たい掘削機械などを含めた掘削現場を設営して作業を始めた。だが、この判断が大誤算の元だった。
ろくに調べもせずに大規模操業を始めてしまったため、その荷重に耐えきれなくなった地盤がついに崩落して、天然ガス満タンの巨大クレーターが出現した。
クレーターの大きさは、直径70メートル、深さ20メートル。一ヶ所が崩落すると、ドミノ式にまわりの地面も次々崩れ、結果的にこのような巨大な穴になった。
下にはメタンがほとんどの天燃ガスが充満していた。
メタンは、空気中の酸素を吸収してしまう厄介な性質があり、周辺の住民や野生動物の生命に危険が及ぶ可能性があったため、科学者たちは対策を講じた。ガスに火をつけ、燃やし尽くしてしまおうという作戦だ。