新種の異常巻きアンモナイトが北海道で発見される

新種のアンモナイトを発見 / 三笠市立博物館提供
 アンモナイトと言えば古生代から中生代白亜紀末まで、およそ3億5000万年間もの長い間海に多く生息していた頭足類の仲間だ。白亜紀末にあった5回目の大量絶滅により地球上から姿を消した。


 今やアンモナイトの手がかりと言えば化石のみだ。そんな中、北海道羽幌町で新種のアンモナイトが発見されたという。
 
 一般的なアンモナイトはカタツムリのような渦巻きが特徴だが、新たに発見されたアンモナイトはワインのコルク抜きのような螺旋状の渦巻きを持つ「異常巻き」の類で「Yezoceras elegans(エゾセラス・エレガンス)」と命名されたという。
【北海道で発見された異常巻きの新種のアンモナイト】

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三笠市立博物館提供
 アンモナイトは、4億年前ごろに現れて世界中の海で栄え、6550万年前に起きた5回目の大量絶滅(K-Pg境界)で姿を消した。

 カタツムリの殻のような一般的なタイプは正常巻きと呼ばれ、渦がない直線状のものや、巻き貝のような渦を持つ者は異常巻きと呼ばれている。

 今回北海道羽幌町にある中生代白亜紀コニアシアン期(約8980~8630万年前)の地層から発見された8点の化石は新種の異常巻きアンモナイトだ。

 これらは「Yezoceras elegans(エゾセラス・エレガンス)」と命名された。

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【短期間で独自に種分化したエゾセラス属】

 新種エゾセラス・エレガンスは同属の別種エゾセラス・ノドサム (Yezoceras nodosum) より派生したものと考えられている。

 エゾセラス属はこれまでに1977年に発見された2種が知られていたが、今回発見された3種目となる8つの標本は、互いに接することがなく大回りに緩やかにカーブしたバネ状の螺環と、螺環下部に集中している2列の突起が特徴で、これらの特徴は既存種の特徴と異なっている。

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 現時点で3種のエゾセラス属はいずれも北海道内の白亜紀コニアシアン期からの産出されている。この事から、エゾセラス属はこの地域に固有であり、短期間で独自に種分化したものと推測された。なお、エゾセラス属の新種が見つかるのは、1977年以来、44年ぶりとのこと。


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 エゾセラス属以外にも、北西太平洋地域の同時代の異常巻きアンモナイト類は、なぜか固有種が多い一方で、正常巻きのアンモナイト類には汎世界的な分布をするものが多く知られている。

 当時の海洋がどのような環境下にあり、このような違いがなぜ起きたのかはいまだ謎に包まれている。エゾセラス属をはじめとして、異常巻きアンモナイト類の各系統の進化の傾向や環境変動との関係性をひとつひとつ明らかにしていくことで、その謎に迫ることができるかもしれない。

References:北海道羽幌町より新種の異常巻きアンモナイトを発見 | 三笠市立博物館/ written by parumo

記事全文はこちら:新種の異常巻きアンモナイトが北海道で発見される http://karapaia.com/archives/52298348.html
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