
凄まじい光の吸収率をもつ「ベンタブラック」の開発以降、黒より黒い超黒塗料に注目が集まる中、ネット上では日本の企業が開発した世界で最も黒い水性アクリル塗料「黒色無双」を車に塗る実験なども話題を呼んだ。
そして今月、あるYouTuberが室内を光吸収率99%以上を誇る「黒色無双」で室内を塗装した動画を公開した。
あのブラックホール並みの塗料に覆われたなら、その中はかつてない闇空間へと変貌しそうだ。「光も逃さぬ漆黒の間」と聞けばそれだけで心ときめくものがあるが実際のところどのように見えるのだろう?
[動画を見る]I Painted My Entire Room With Musou Black
【実際どうなる?「黒色無双」で小部屋を塗装】
このたび実験を行ったのは化学技術者のジェームズJ.オルギルさん。彼は自身が運営するThe Action Labチャンネルで手作りの小部屋の中を「黒色無双」で塗り潰してみることに。
「黒色無双」は光陽オリエントジャパンが一般販売を開始した世界で最も黒い水性アクリル塗料だ。その可視光吸収率は2020年10月に99.4%を達成。日本ではこの改善を機に「真・黒色無双」という名で新発売中だ。
ジェームズさんのもとに届いた「黒色無双」はこんな感じ。小ぶりなタンクにけっこうな量が入っているもよう。
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また超黒色の大きな布も入っていた。これを広げるだけでブラックホール並みの異空間が誕生。この黒色が部屋全体に広がったらどんなことになるのだろう?
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さっそく作業にかかると室内に異様な黒さが広がってゆく。
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塗った先から光が奪われるせいか、明かりがないと手元はどんどん暗くなる。
壁や床の反射光も乏しくなり塗料の場所まで見失ってしまいそう。
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【ライトが無いと危うい!室内は境界を失う異空間】
ついに超黒ルームが完成!「黒色無双」に覆われた室内は床と壁の境界すら消え失せ、異空間に浮くジェームスさんが我々をいざなっているかのようだ。
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扉を閉めた状態で唯一の光源となる天井のライトを点けてみる。
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すると光が当たった部分だけがくっきり際立ち、白いボードもほんのちょっと傾けるだけで真っ黒に。周囲に溶け込んでしまうかのようだ。
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いやはや想像以上に闇すぎる。ライトも消して閉じこもったら自分の体がどこまであるかもわからなくなるに違いない。じゃなきゃ内なる闇に支配されるかのどっちかだな。
でも慣れると案外心地よかったり?メディテーション的なリラックス空間になったりするのかも?
【概念を覆す黒さ。話題の超黒塗料が身近なものに】
2014年におよそ99.965%という驚異的な可視光吸収率のベンタブラックが発表されてからというもの、人々の概念を覆す超黒素材は世界中で注目を浴びている。
また2019年にはMITがベンタブラックよりさらに黒い超絶黒色素材を開発。偶然発見されたこの素材の可視光吸収率はなんと99.995%を上回るという。
ちなみに「黒色無双」と同じく販売中の超黒色塗料は他にもある。ベンタブラックを独占するアニッシュ・カプーア氏とのバトルで話題になったスチュアートセンプル氏の超黒色塗料Blackシリーズだ。
その最新作であるBlack 3.0の可視光吸収率は99%。超黒塗料の中では最も低吸収率だが、使い勝手が良いという。公式サイトによれば150mlで14.99ポンド(約2,200円)と価格もお手頃。カプーア氏を除くあらゆる人が入手可能という点でも反響を呼んでいる。
さて塗るだけで無限の闇が生まれてしまう超黒塗料の人気はまだ続きそう。カプーア氏のアートのように危険なものは勘弁だけど、これからは超黒色の商品とかも珍しくなくなるのかな?
References:boingboing / designtaxiなど /written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:世界一黒い水性塗料「黒色無双」で部屋をペイント、超闇空間を作ってみた http://karapaia.com/archives/52298357.html
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