ロンドン塔に住むカラスの1羽が消息不明に、国が崩壊するというジンクスに全英が震える(イギリス)

イギリスの守護神として知られているカラスの1羽が行方不明に / ravenology1/Instagram
 イギリスのロンドン塔には、古くからワタリガラス(レイヴン)が常に6羽住んでいる。塔に住むこのカラスたちは、王国と要塞を守る大切な存在だと17世紀から伝えられてきた。

 ところが、そのうちの1羽がここ数週間行方不明になっているという。塔の広報担当者は、死んでしまった可能性もあるとしてSNSで伝えたところ、ついに国崩壊の危機が迫っているのか!?と、全英が震えているという。『Evening Standard』などが伝えている。 
【イギリスの守護神、ロンドン塔に住むカラスの伝説】

 ロンドン塔のカラスにまつわる伝承は17世紀に遡る。

 当時、イギリスで腺ペストが大流行し多くの死者を出したことで、その死体をついばむカラスが大量に繁殖した。加えて同年代に起こったロンドン大火でもカラスの数が増えた。

 その時代、イングランド王だったチャールズ2世がカラスの駆除を検討したところ、とある王室付きの占い師に「カラスがいなくなればロンドン塔は崩壊しイギリスは滅びる」と助言された。

 そこでチャールズ2世は、「国と要塞を守るために、ロンドン塔には少なくとも6羽のカラスを置く」と決め、近衛兵にカラスの世話をさせるようになったという。

 以降、何百年もの間、ロンドン塔には常時6羽のカラスが住んでいる。

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ロンドン塔に住むカラス(2016年撮影): Colin / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
 長い歴史の間には、その数を下回ることもあったが、その都度数を6羽に保つよう補われ、2018年には塔で繁殖プログラムを開始し、現在は予備のカラスを含め7羽がロンドン塔に住んでいたようだ。

 そうした伝説のもと、ロンドン塔のワタリガラスは観光客にも非常に人気がある存在となってきたが、そんな中、そのうちの1羽が、去年から数週間行方不明になってしまったことが発表された。

【塔で女王格だったカラスの“メリーナ”が行方不明に】

 ロンドン塔は、1月13日にSNSを介して、女王格だったメリーナというメスのレイヴンが、クリスマス前から数週間行方不明になっていることを明かした。


 塔の広報担当者によると、メリーナは2007年からロンドン塔に住んでいたという。時に、カラスたちは敷地外へ出ることがあっても、いつもはちゃんと塔に戻ってくるそうだ。

 以下の動画は2020年4月に公開された家に戻ってくるメリーナの姿を撮影したものだ。

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まだ健在だったころのメリーナ Raven Merlina goes to bed

 また、風切羽の手入れがなされてあるため、ロンドン塔のカラスたちが遠くへ飛んで行ってしまうことはないと推測されている。

 こうしたことから、何週間も戻ってこないメリーナは、「もしかしたらもうどこかで死んでいる可能性がある」と、ロンドン塔はその悲しみをTwitterでシェアした。

【予備に1羽いるので国の崩壊の心配はなし】

 ロンドン塔の護衛兵ヨーマン・ウォーダー(Yeoman Warder)の1人で、カラスの飼育係「レイヴンマスター」を務めるクリス・スカイフさんは、Instagramのアカウント『ravenology1』で、ロンドン塔のカラスとの日常を投稿しており、メリーナの失踪にはとても心を痛めているという。

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多くの皆さまがこのニュースに悲しんでいることでしょう。私も同様です。数日間、アカウントを更新できないかもしれませんが、お許しください。

 SNSでこのように悲しみを吐露したスカイフさん。

 メリーナがいなくなってしまったことで、6羽のルールが崩れ、国の崩壊を心配する声が多く上がったが、これに対しクリスさんはこう語った。

予備の1羽がいるので大丈夫です。今のところ国は安泰でしょう。今後メリーナの代わりのカラスを補填する予定はありません

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 なお、野生のワタリガラスは平均寿命が10~15年と言われているが、ロンドン塔のカラスは40歳まで生きることで知られている。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:ロンドン塔に住むカラスの1羽が消息不明に、国が崩壊するというジンクスに全英が震える(イギリス) http://karapaia.com/archives/52298404.html
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