
音楽をすると脳の認知機能がアップする/iStock
太古の昔から、人は音楽を奏で、歌い踊っていた。音楽には秘められたパワーがある。
最新の研究では、音楽をやっている(したことのある)人の脳は、そうでない人に比べ、脳領域の接続レベルがはるかに高いことがわかった。
うまい下手は関係ない。絶対音感も関係ない。さまざまな事情で音楽をやめてしまったとしても、子供の頃に培った音楽の力は、読解力・記憶力・外国語の発音を高めるなど、一生を通じてその子を助けてくれるとのことだ。
【音楽をやっている人の脳は脳機能の接続が強い】
『Journal of Neuroscience』(1月25日付)に掲載された研究では、スイス、チューリッヒ大学の研究グループが、音楽をやっている人の脳は、生まれ持った音感とは関係なしに、構造的・機能的な結合が強いことを明らかにしている。
これまでも音楽が脳に与える影響を調べた研究はあった。しかし今回はこの類の研究としては史上最多となる103名のプロの音楽家(および音楽をやらない人50名)が参加し、その脳が検査された。
[画像を見る]
iStock
【絶対音感に関係なし、音楽を続けることで脳のつながりが強くなる】
まず明らかになったのは、プロの音楽家は絶対音感の有無にかかわらず、非常によく似た結合を示していたことだ。
参加した音楽家のうち、51名には絶対音感がそなわっていた。だが意外にも絶対音感があろうとなかろうと、音楽家同士で脳の機能的・構造的結合に大きな違いは見つからなかったのだ。
そして、どちらのグループも音楽をやらないグループに比べて、はるかに脳の結合が多かった。
こうした結合の多さが、音楽家のスキルを向上させていることは間違いないとのことだ。
[画像を見る]
非ミュージシャンと比較した脳の結合 image by: Leipold et al.
また音楽家の聴覚皮質が、記憶・作業記憶・実行機能といった高次の認知機能をになう領域とも緊密に結合していることも確認された。
つまり、音楽によって育まれた緊密な結合は、音楽の能力だけでなく、言語の学習や知能といった能力をも向上させている可能性があるということだ。
【今からでも遅くないが始めるなら早い方がいい】
なお音楽を始めた時期が早い人ほど、そうした結合が強まる傾向にあったという。
ピアノでもバイオリンでも、楽器を始めた年齢は、脳の形成を育み、優れた才能を芽生えさせる重要なポイントであるようだ。
そうは言っても音楽はちょっと苦手かもという人だっているだろう。嬉しいことに研究グループによれば、音楽以外によっても脳の結合をうながすことができるという。
たとえばダンス、バレエ、ゴルフ、チェスなどといったさまざまな活動で、脳の好ましい変化が観察されてきたとのこと。
しかもそれは年齢を問わない。早いうちに始めるに越したことはないが、だからといってチャレンジに遅すぎることはないようだ。
References:scitechdaily / inverse/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:音楽をすると脳の接続が強化され、認知機能がアップする https://karapaia.com/archives/52298782.html