
この写真、見るからに本格的なリブロースステーキだが、実はこれ、動物組織を培養して3Dプリンターで成型した培養肉である。
コロナ禍はデジタル産業だけでなく、代替タンパク質産業にとっても転機となったようで、いくつもの企業が新製品を市場に投入すべく、急ピッチで開発を進めている。
イスラエルの「Aleph Farms(アレフ・ファームズ)」もそんな企業の1つ。同社では生きている動物の細胞と3Dバイオプリンティング技術を使って、見た目も味も食感も満足できる培養肉を作ろうとしている。こうした代替肉産業は今後大きな拡大が予測される分野だ。
【実際のお肉をそのまま再現】
アレフ・ファームズが発明した組織カルティベーターは、さながら動物の体内で起きているプロセスであるかのように、お肉を作り上げることができる。
筋肉、脂肪、血管、あるいは栄養といったお肉の作りがそのまま再現されており、それが生み出すクオリティは、同社によれば「一般に流通しているリブロース(リブアイ)・ステーキの美味さ、柔らかさ、ジューシーさ」と同じだという。
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国によって肉質の好みはさまざまだが、アレフ・ファームズのお肉はそうした好みに応じて調整することもできるそうだ。
こうした培養肉は、動物を殺す必要がないだけでなく、食肉を届けにくい地域にも新鮮なお肉を提供できるという利点もある。
たとえばアレフ・ファームズは、一般社会と隔離されている宇宙空間でお肉を楽しんでもらえるよう計画を進めている。
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image credit:Aleph Farms
【培養細胞を利用した代替肉産業の未来】
アレフ・ファームズ以外にも、Future Meat Technologies(イスラエル)、Meatable(オランダ)、Mosa Meat(オランダ)などの各社が、培養細胞を利用した代替肉業界のシェアを握るべくしのぎを削っている。
中にはシーフードに特化したBlueNalu(アメリカ)のような変わり種もある。
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残念ながら、そうした業界の動きに世の中がついて行けていないようで、規制の欠如が代替肉産業の発展を妨げているという。
しかし昨年12月にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、国家元首として世界で初めて培養肉を口にした。
またシンガポールでは、世界で初めて培養肉の販売が正式に認可された。
次世代の食品が世にデビューする機は少しずつ熟してきているようだ。
References:fooddive/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:見た目も本格的!世界初の3Dプリンターで作られたリブロース・ステーキ(イスラエル) https://karapaia.com/archives/52299300.html
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