仲良くなったカラスが自発的にボディガード役となり、近づく隣人に襲い掛かるように。だがハッピーエンドが待っていた


 カラスはとても頭の良く義理人(鳥)情に厚い生き物だ。やさしくしてくれた人にはカラス的恩返しをしてくれる。


 数羽のカラスに餌をあげているうちに仲良くなったという女性が海外掲示板に投稿した内容が、大きな反響を呼んでいる。

 カラスは自発的に女性のボディガードをするようになってくれたのはいいのだが、女性に近づく隣人をすべて敵認証し、威嚇して襲い掛かるようになってしまったという。だがそれで終わりではない。とりあえず最後まで読んでみて欲しい。
【カラスと仲良くなりたかった女性】

 アメリカのオレゴン州に住む、20代後半の女性、Redditユーザーcranneさんは、カラスにやさしく接すると、「お礼に小さな贈り物を届けてくれる」というドキュメント番組をいくつか見ているうちに、自分もカラスと仲良くなりたくなった。

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 そこでcranneさんは、家の近くにいたカラス数羽に餌をあげてみたところ、予想以上にうまくいき、15羽のカラスと仲良しになれた。

 だがその後、カラスたちは彼女が思いもよらなかった行動に出た。2か月ほど前にcranneさんがRedditにシェアした投稿文は、概ねこのように記されてある。

【カラスたちが最強のボディーガードと化し、隣人たちを襲う】

最初のうちはカラスに餌をやるひと時の時間を楽しんでいました。近所の人たちも微笑ましくその様子を見守ってくれていました。

隣人のほとんどは、バードウォッチングクラブに所属しているような高齢者たちで、私が外に出る度にカラスがついてくるのが面白いと思っていたようです。

最近カラスたちが私のボディーガードを開始しました。
ある日、私が庭のポーチにいた時、隣人が挨拶がてら近づいてきたのですが、カラスたちは急降下し、彼女を攻撃する姿勢を見せ始めたのです。彼女が私の庭から出ていくまでその行為は止まりませんでした。

カラスは彼女と接触はしませんでしたが、とても近いところまで来て威嚇しました。

私は、このカラスたちに餌を与えているので、もしカラスたちが誰かを傷つけた場合、責任を負わなければならないでしょうか?

野生のカラスを制御することはできないでしょうが、カラスたちが私の隣人を攻撃しないことを望んでいます。

でも私がカラスに餌付けをしてしまったことでこの迷惑な状況を生み出したのだとしたら、もしカラスが誰かを怪我させてしまった場合、私が損害賠償を支払わなければならないのでしょうか?

ここで明確にしておきたいのですが、カラスたちは常に攻撃的というわけではありません。隣人が外出している時は彼らは友好的な普通のカラスです。でも隣人が私や私の敷地内に近づいた時だけ攻撃的になるのです。

ちなみに私はカラスたちが攻撃的になるような訓練などはしていません。

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【女性の問いかけに様々な回答が集まる】

 cranneさんのこの投稿には、多くのユーザーらから反響を呼んだ。中には鳥類を専門にしている生物学者のパートナーから聞いたと、このようにアドバイスするユーザーもいた。

それは、「リソース・ガーディング(resource guarding)」といって動物の本能的行為のひとつです。

隣人への攻撃を止めさせるために、隣人にビー玉や瓶の蓋など光沢のある物や食べ物の屑などを持ってくるように伝えるか、あなた自身がカラスの好きな餌などを入れた袋を訪ねてきた隣人に渡してみてください。


もし、カラスたちが隣人を攻撃するような行動をしたときは24時間餌を与えないでください。訪ねてきた隣人に襲いかかる様子がないようなら、カラスの好きなおやつを与えてみてください。

 また、このスレッドを見たカラスの専門家カエリ・スウィフト博士は、カラスがボディーガード化するということには懐疑的だという。

 カラスは賢い。隣人がカラスに悪印象を持っていることを察し、それがカラスを刺激する結果となったのではないかと述べている。

 また、法律専門家は、もしカラスに攻撃された人物が投稿主に対して訴訟を起こしたと場合、訴訟に勝つことは難しく、損害賠償を請求される可能性があるとコメントしている。

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【数ヶ月後、カラスたちはコミュニティみんなの仲間となる】

 さてこの問題はどう決着がついたのだろう?
 結局のところハッピーエンドとなったようだ。

 今月、cranneさんはRedditを更新。野鳥および自然環境保護を目的とする地元の全米オーデュボン協会に電話してこの1件を尋ねたところ、カラスに餌をやる行為は悪いことではないと告げられ、隣人にもカラスに餌をやるように伝えてみては?と提案されたという。

私も隣人も、カラスたちに餌をやれば、カラスと本質的により良い関係を築くことができるのではないかということでした。

早速実践してみると、とてもうまくいきました。カラスは今や隣人みんなと友好な関係を築き、コミュニティの一部となっています。
隣人への爆撃は一切なくなりました。

 cranneさんは隣人に訴えられることなく、それどころか隣人もすべてカラスとフレンドリーな関係を持つことができるようになったのだ。

【カラスが隣人を救うという出来事も!】

 更に驚くのはここからだ。カラスは隣人を救う行動をとったという。

さらに驚くべきことが起きました。カラスは私の隣人を救ったかもしれないのです。最近、私たちの街には大雪が降ったのですが、私の近所の人のほとんどは高齢者です。

ある日隣人の1人が坂になった私道を歩いていところ、滑って転んで立ち上がることができないという事故が起こりました。

その時、カラスたちが大きな声で鳴き始めたのです。その鳴き声は、私たちが今まで聞いたよりもずっと大きなものでした。

カラスたちの大きな声を聞いた別の隣人が「何が起こったのか」と外に出て、私道で動けなくなっていた隣人を発見したのです。彼は複数の打撲傷を負いましたが、命に別状はありませんでした!

言うまでもなく、カラスたちはそれ以来誰からも愛され、最も好物の食べ物を手に入れています。

 cranneさんは、数か月にわたって拡散した自身の投稿の最後に、「ここまで注目されるとは思っていなかった」と驚きを伝え、オリジナルの投稿では「もしよければオーデュボン協会に寄付してほしい」と締めくくっている。

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【日本ではカラスの餌付けは基本的に禁止】

 これはアメリカで餌付けが禁止されていない州での話なので、こういう結果になったわけだが、日本の場合、ほとんどの市町村の条例においてカラスなどの野生生物の餌付けは禁止されている。

 人が食べ物を与えることで人を恐れなくなったり、生息数が増え生態系のバランスを乱したり、密集することで感染症が発生しやすくなる懸念があるからだ。

 カラスは確かに仲良くなると頼もしい味方になってくれたり、貢物も届けてくれたりするが、我々は異国で起きたファンタジーとして見守ることにしよう、そうしよう。 

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:仲良くなったカラスが自発的にボディガード役となり、近づく隣人に襲い掛かるように。だがハッピーエンドが待っていた https://karapaia.com/archives/52299587.html
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