
魚の性格は泳ぎ方でわかる/iStock
人によって性格は様々だ。それは動物も同様で、ペットを複数飼っている人なら犬や猫が個体によって違っているのがわかるだろう。
おとなしかったり活発だったり、怖がりだったり、我慢強かったり、みんな違ってみんな良いのだ。
それは魚だって同様だ。魚にも個性があり、それぞれ違った性格を持っている。
新しい研究によると、魚の泳ぎ方を観察すれば、その子がどんな性格なのか知ることができるそうだ。ペットの魚のことを理解することで、よりいっそう愛おしさが増してくるに違いない。
【魚は泳ぎ方に違いがあり、習性と関係がある】
英スウォンジー大学とエセックス大学のグループは、水槽で15匹の「イトヨ」を飼育し、その泳ぎ方を詳しく分析してみた。
イトヨが水槽の中を泳ぎまわる姿を録画し、向きを変える頻度や、止まってまた動き出す頻度など、さまざま泳ぎのパターンを計測。
すると個々に、よく繰り返されるパターンがあることが判明したという。それは非常にはっきりとしたもので、パターンを見ればどの個体なのか判別できるほどだったとのことだ。
また、そうした泳ぎ方のパターンは魚の習性に関係があることが明らかになっている。たとえば、泳いで過ごす時間が長く、直接的なアプローチをとり、「突発的な移動」をしない魚は、水槽の中をたくさん探索する傾向にあった。
研究グループによれば、飼育環境だけに限った話ではなく、自然環境でもそうである可能性は高いそうだ。
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魚の性格は泳ぎ方でわかる/iStock
【泳ぎ方のパターンを集めれば、魚の性格が判断できる】
「この研究は、シンプルな移動パラメーターを性格を表す特徴とみなせるだろうことを示しています。そうしたパラメーターは、個体それぞれの習性の違いとよく一致しています」と、スウォンジー大学のアンドリュー・キング博士は説明する。
「泳ぎ方の詳細なデータがあれば、野生の魚の性格を定量化できるかもしれません。追跡技術が進歩したおかげで、そうしたデータもますます手に入りやすくなっています」
つまり、魚の泳ぎ方のパターンとそれに関連した習性のデータを大量に集めることで、「魚の性格診断」ができるというわけだ。
【泳ぎ方のパターンが変わる場合もあるので更なる研究が必要】
ただし、そうしたパターンが永遠に変わらないと断言できるわけではない。この研究は、ほとんど環境が変化しない水槽で、ほんの短い間魚を観察しただけだ。
移動パターンや習性は、たとえば環境の変化などに応じて変わってくるのかどうかはまだわからない。変化するにしても徐々に変化するのかもしれないし、突然変化するのかもしれない。とにかく、分からないことはたくさんある。
そんなわけでキング博士たちの今後の研究テーマは、この性格診断法がもっと長期的なスパンでも利用できるものなのか、自然環境ではどうなのかを明らかにすることであるそうだ。
この研究は『Ecology and Evolution』(2月22日付)に掲載された。
人間だって何かがきっかけで別人のように変わる場合もあるわけだし、魚だってずっとそのままってこともないだろうけど、魚の性格をある程度見分けることができれば、どう接したらいいのかもわかるのはうれしいよね。
References:zmescience/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:魚にも個性がある。泳ぎ方でどんな性格なのかを知るヒントになる(英研究) https://karapaia.com/archives/52299707.html
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