
ディズニーの映画にもなったグリム童話「ラプンツェル」は、塔の上に閉じ込められた、長く美しい黄金の髪を持つ少女の物語だ。
その少女の名前が付けられた病気がある。
自分の毛を抜いて食べずにはいられなり、食べた毛髪が大きな塊となって胃や腸に残ってしまう「ラプンツェル症候群」と呼ばれる症状だ。
イギリスに住む17歳の少女は「ラプンツェル症候群」となり、胃の中に髪の毛の大きな塊ができ、胃壁に穴があいてしまっていたという。
【胃から巨大な毛髪の塊が出てきた少女】
2月9日付の『BMJ Case Reports』誌によると、その毛玉は長さ48センチにもなっていて、胃全体に完全に詰まっていたらしい。
この17歳の少女は、転倒して頭と顔に傷を負い、2度も意識を失ったために病院にやってきた。検査したところ上腹部に大きな塊があることがわかった。
少女はこの5ヶ月の間に時々腹痛があったというが、病院にやって来る前のこの2週間は、それがひ
どくなっていたという。
少女には髪の毛をやたらと抜き、その髪の毛を食べてしまう癖があった。
CTスキャンを撮ったところ、胃がかなり膨張していて、中に大きな塊があることがわかり、胃壁が破れていたという。
少女は「ラプンツェル症候群」と診断された。医学的に毛髪胃石として知られている胃の中の毛玉は腸まで達していたという。
手術によって毛玉は取り除かれたが、胃全体の大きさに相当するほどの相当な大きさだったそうだ。
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credit:Jackman et al, BMJ Case Reports 2021
この少女は、手術の後、集中治療室(ICU)に入って胃の回復を待ちながら、小腸にチューブを挿入して栄養をとった。
医師によると、その後少女の体調は落ち着き、術後7日で退院したという。一ヶ月後、合併症の兆候もなく、食餌療法のアドバイスを受けながら順調に回復しているとのことだ。
【若い女性に多いラプンツェル症候群】
人口の0.5~3%の人が自分の髪を抜かずにはいられない抜毛症を体験すると言われていて、そのうちの10~30%に抜いた毛を食べ続けてしまう食毛症となる。2019年の研究によると、この両方の症状がある人の内、約1%に見られるのがラプンツェル症候群だ。
ラプンツェル症候群になると、食べた毛髪が大きな塊となって胃に留まり、さらに塊から尻尾のように毛髪の束が十二指腸や回腸、さらには結腸にまで広がってしまうこともある。代表的な症状は吐き気や嘔吐、膨満感、排便の変化、吐血、体重減少などがある。
これまでに報告されているラプンツェル症候群の約8割は、女児や10歳代の若い女性だという。
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髪の毛を大量に食べると、深刻な合併症を引き起こし、腸閉塞を引き起こしたり、果ては死に至る可能性もある。
2017年、やはりラプンチェル症候群だったイギリスの16歳の少女は、胃にたまった毛玉から致命的な感染症を引き起こして亡くなったと報告されている。
References:Teen With 'Rapunzel Syndrome' Requires Surgery After Giant Hairball Fills Stomach/ written by konohazuku / edited by parumo
記事全文はこちら:自分の髪の毛を食べ続けてしまう「ラプンツェル症候群」の少女、胃から巨大な毛髪の塊が取り出される https://karapaia.com/archives/52299709.html
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