
厳しい環境の中で生きる野生生物は、カモフラージュをして敵の目を欺くものもいれば、毒を放出して敵を撃退したり、死んだふりをしたりなど、捕食者から身を守る様々な術を自然に身に着けている。
群れで暮らす野生のトナカイにも面白い戦略がある。
捕食者を困惑させるために、巨大な円を作り上げ、そこをくるくると回転する。まるでうごめくミステリーサークルのようだ。
以前もトナカイミステリーサークルの様子はお伝えしたが、アメリカのドキュメンタリー番組『Nature』が撮影した映像が公開されていたので、改めて見てみることにしよう。
【トナカイの大群による巨大ミステリーサークル】
アメリカのテレビ局PBSのドキュメンタリー番組『Nature』では、様々な野生生物が紹介されている。
「Wild Way of the Vikings」というシリーズでは、視聴者が当時のヴァイキングたちの目を通して自然を体験できるよう制作されており、その撮影の中でスタッフらは野生のトナカイの素晴らしい映像を捉えることに成功した。
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Reindeer Cyclone
【捕食者であるヴァイキングから身を守るための集団防御戦略】
ノルウェーでは初期のヴァイキングにとって、トナカイは最も重要な野生生物だった。肉が食料となることはもちろん、皮や枝角、骨の全てが暮らしに活用できたからだ。
当時の人間にとってトナカイは生きていくための大切な資源だったが、トナカイにとっては人間はクマやオオカミ同様に天敵でしかない。
普段から大群で行動するトナカイは、身を守るための戦略も群れで行う。
ハンターが1頭のトナカイに狙いを定めようとすると、危険を察知したトナカイはハンターの周りに塊になって、円を描いて走り始める。
このように丸くなって塊で走ることで、人間だけでなくオオカミやクマも、1頭だけのトナカイを標的にすることに苦労し、狩りが困難になる。これこそが、まさにトナカイの驚くべき防御戦略なのだ。
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【トナカイのミステリーサークルは様々な地域で確認されている】
下記の映像は、ロシアのムルマンスク州コラ半島に暮らすトナカイの群れで、2018年5月にレニングラード州サンクトペテルブルクにある博物館が公開したものだ。
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this drone footage shows a reindeer cyclone in all its glory
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こちらは、少し別の角度から捉えた別の群れの映像である。
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トナカイは、サークルの中心部分に無抵抗の子供のトナカイを置いて、らせん状を描いて敵を混乱させるという。
水中の魚も、サメなどの大型の魚やイルカなどその他の捕食者から身を守るために、弱い個体が群れで固まって防御を行うが、トナカイのサークルも似たようなものかもしれない。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:トナカイの大群が作りあげた巨大ミステリーサークル。円を描きながらクルクルと回転する圧巻の光景 https://karapaia.com/archives/52300747.html
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