巨大な陥没穴が農地に次々と出現する怪現象。地下水の灌漑が原因か?(トルコ)

image by:Stacey Bowen/Facebook
 トルコ中部に位置するコンヤ県の農地に、巨大な陥没穴が次々と出現しているという。去年の2倍近い数の陥没穴が報告されている。


 深さも結構あり、誤って落ちたら大変なことになりそうだ。その原因は何なのか?どうやら、1970年代に盛んにおこなわれていた地下水の灌漑(かんがい)の影響によるものではないかと推測されている。
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Sinkholes increase in Konya Plain

【広大な穀倉地帯に陥没穴が続出】

 トルコ中部コンヤ県は、70%の住民が農業に従事しており、広大な穀倉地帯が広がる緑のサイロとして知られている。

 しかし、国の主要な農業の中心地となるコンヤ県は、持続的な干ばつ被害に悩まされ、近年では農地を飲み込むほどの勢いで巨大な陥没穴が次々と出現していることから、農民たちは頭を抱えているという。

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 これは、作物の成長を促すために灌漑用の地下水を過剰に組み上げ続けたことが原因と推測されており、水を排出した地面が地下に空洞を作り、最終的に上の土壌が沈下して幅20~30メートル、深さ40~150メートルにおよぶ陥没穴を生み出しているようだ。

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 コンヤ工科大学でこの陥没穴の研究をしているフェトフッラー・アリク教授は、次のように述べている。

陥没穴は、過去10~15年にわたり観察されたごく最近の現象ですが、問題の原因は1970年代に遡ります。

当時、その地域で無制御に地下水灌漑が始まり、悲しいことに今日まで続いています。干ばつは年々悪化していて、地下水以外の水を使用することは高コストで収入減になるため、農民らは依然として地下水に頼り続け、問題が悪化する一途を辿っています。

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【今年の陥没穴の報告は去年のおよそ2倍】

 『Daily Sabah』によると、陥没穴は土地の特性や水の流れる方向、農作業時の地下水への依存というコンビネーションによって生まれるという。

 最初に陥没穴が発見されたのは2015年で、15メートルほどの穴だったそうだ。2018年には20以上の陥没穴が登録され、2019年の最初の5か月間で更に10の陥没穴が出現した。


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 そして、ここ2,3年の間に穴の数は急増。農民らは、陥没穴ができることで農地が奪われていくため、なんとかして穴を埋めようとしているようだが、それは容易ではない。

農民も我々も、陥没穴を埋めるための解決策を模索中ですが、土地の下の隙間が目に見えているよりも広いため、適切に穴を埋めることなどできないというのが事実です。

幸いにも人的被害はまだ発生していませんが、事故を未然に防ぐため陥没穴のある領域を立ち入り禁止区域に指定するなど、政府の何らかの対策が必要です。(アリク教授)

【無秩序な地下水灌漑以外に気候変動も影響】

 陥没穴が初めて発見された2015年、複数の陥没穴が相次いで出現したことから、150人ほどが住む村の住民らは、災害緊急事態管理局へ支援を求めた。

 同管理局は、調査を行ったものの災害を未然に防ぐため、村人に陥没穴の近くから避難するよう指示。現在、村は元の場所から2キロほど離れたところに移動しているそうだ。

 しかし、地下水灌漑の問題が解決されるまで、陥没穴は出現し続けると専門家は推測している。

昔は、人口も少なく、産業も今ほど発展しておらず、また集落も散在していました。だから、陥没穴が存在していても気付かなかったのでしょう。ですが、近年の農業活動と人口の増加により、陥没穴は人口密集地域に近付き、損害を引き起こしているのです。

 現在、コンヤには660の陥没穴があることが報告されており、それは去年の350という報告のおよそ2倍の数となっている。


 陥没穴のサイズはそれぞれ異なり、浅い穴もあれば見た目よりはるかに深い穴もある。民家に近付いた領域で増え続ける陥没穴は、いつ危険な事態を引き起こすかが予測不可能なだけに、住民らは不安を募らせている。

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Massive Sinkholes Open Across Turkish Farmland

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:巨大な陥没穴が農地に次々と出現する怪現象。地下水の灌漑が原因か?(トルコ) https://karapaia.com/archives/52301687.html
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