
photo by iStock
金星は地球の双子だと言われている。同じようなプロセスによって誕生したため、どちらも岩石でできており、大きさも構造も似通っている。
だが、その後のきょうだいの運命は、完全に二手に分かれてしまった。磁場に守られているおかげで生物が繁栄する地球とは違い、金星には磁場がなく、その地表は鉛が溶けてしまうくらい熱い。
NASAの探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が3回目となる金星のフライバイを行ったのは、昨年7月11日のこと。このときは、それまででもっとも金星に近いフライバイで、高度833キロの大気の中を通過した。
そのとき、金星から低周波電波シグナルが検出された。それを可聴化したものが動画で公開されていた。金星の歌声とやらを聞いてみよう。
【金星の電波シグナルを可聴化】
[動画を見る]
NASA's Parker Solar Probe Discovers Natural Radio Emission in Venus' Atmosphere
地球と同じく、金星の大気上部にも「電離層」という気体が電荷を帯びた部分がある。電波はここから放たれたもので、これを分析することで電離層の密度を調べることができる。
前回金星の電離層が直接計測されたのは30年も前のことだ。「パイオニア・ヴィーナス・オービター」が金星を訪れた1992年当時、太陽の活動は極大期近くにあった。
しかし今回は極小期が過ぎたばかりだ。
じつは極小期では、金星大気の体積は同じままながら、電離層からは気体が宇宙へ逃げて薄くなると考えられていた。今回それが直接観測された形だ。
[画像を見る]
探査機、パーカー・ソーラー・プローブによる3回目のフライバイでは、金星の夜側の画像を撮影することができた(image credit:NASA)
【金星の電離層の謎を解くことが居住可能な惑星特定のヒントに】
なぜ太陽極小期には金星の電離層が薄くなってしまうのか?
その謎の解明は、地球と同じようなプロセスで誕生したはずの金星が、有毒ガスに包まれた灼熱の惑星になった理由を解き明かすヒントになる。
そして、それは太陽系の外で発見されている地球型惑星の運命が、居住可能なものになるかどうかを分ける要因の理解にもつながっている。
この研究は『Geophysical Research Letter』(3月3日付)に掲載された。
References:Parker Discovers Natural Radio Emission in Venus’ Atmosphere | NASA/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:金星から電波シグナルを検出、その音を可聴化した金星の歌声(NASA)※要音声 https://karapaia.com/archives/52301824.html
編集部おすすめ