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マレーシア原産の鶏「セラマ」は、世界最小の鶏として知られている。その歴史は50年と浅いが、系統を辿ると1600年代にまでさかのぼると伝えられている。
セラマの特徴は、小さいというだけでなくその見た目にある。後ろに傾いた頭部と大きく突き出た筋肉質の胸部は、まるでボディビルダーのようであり、アジア諸国をはじめアメリカやヨーロッパの愛好家らに人気だという。
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malaysian serama Siak line
【世界最小の鶏、セラマの起源】
世界最小の鶏「セラマ」の起源は諸説あるが、1600年代にまで遡ると言われている。
マレーシアのクランタン州で日本のチャボとマレーシアのニワトリを交配させて誕生したという説が有力だが、タイの国王がマレーシアの当時の国王に贈ったという説もある。
当時は「アヤムカティック(小さいニワトリの意味)」、もしくは「アヤムカンティック(かわいいニワトリの意味)」と呼ばれていた。
しかし、現代市場に出回っているセラマは、「ウィー・イェン・イーン」というブリーダーが繁殖させた1970年代以降の新しい品種だ。セラマという名もウィーがつけたもので、この名は、タイの王の称号であるラーマ王に因んでいるという。
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【改良をかさね更に小型に】
セラマは、通常は500gにも満たないほど小さいが、母国マレーシアでは250g未満のより小さなセラマが飼育されているという。
2004年に大流行した鳥インフルエンザの影響で、マレーシアのセラマはほぼ絶滅状態となった。しかし、その時既にアメリカやイギリスを含む多くの国々に輸出されていたため、各国で繁殖が行われ、絶滅の危機を乗り越えて個体数が復活した。
今日、セラマはマレーシアやベトナムを中心とするアジア諸国をはじめアメリカやヨーロッパで人気となり、愛好家らが繁殖に成功させている。
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【後傾した頭部と突き出た胸部、筋肉質の体が特徴】
独特な外観を持つセラマだが、個体によって異なりを見せており、多様性に富んでいるようだ。
その共通した特徴は、後傾した頭部と大きく突き出た胸、筋肉質な体に密着した尾翼、直立する姿勢だ。
その姿から「勇敢な戦士」、「大天使の鶏」となどとも呼ばれている。
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誇らしげに脚を持ち上げて羽を広げてポーズを決めるその姿は、それが世界最小の鶏とは思えないほどの威圧感で、まるでボディービルダーかアスリートを彷彿とさせる。
セラマは、ブリーダーによってそのスタイルやタイプが異なり、特にマレーシアには非常に多くの多様性を持つセラマが存在していると言われている。
突き出た胸は 鳩胸とも呼ばれるが、 鳩胸以上のセラムネだ。
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それらのセラマは、数人の審査員によって採点される、いわゆるビューティーコンテストに出場し、互いに競い合うという。優勝すれば、ブリーダーは多額の賞金を手にすることができるというわけだ。
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Alagang Magaling S7 EP9 SALPUKAN SA LAMESA Serama Chicken Show
2000年初頭にセラマを輸入したアメリカとヨーロッパでも、愛好家の間で人気となり、独自の繁殖スタイルが広がった。
鳥インフルエンザ以来、母国マレーシアで見られるようなより極端なスタイルのセラマを宣伝するために、アメリカでは愛好家らグループによる「セラマUSA」と呼ばれる新グループも結成され、毎年複数の卓上ショーを開催しているという。
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しかし、羽毛のあるアーノルド・シュワルツェネッガー(?)を作り上げることは、なかなか容易ではない。
とあるベトナムの情報筋によると、大会に勝つことに夢中のブリーダーは、セラマに多くの時間を費やしているそうだ。
孵化したセラマは、直後にアーチ型の頸椎を持つようにブリーダーに頭を引き戻し矯正され、それが自然にできるよう「訓練」される。
また、貴重なセラマを最高の状態に保つために、一部のブリーダーは1日10分以上セラマにマッサージを与え、免疫力を高めるために週に3回はニンニク注射を施す、といったことも伝えられている。
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各国で人気があるセラマコンテストは、鳥の大きさではなく、ポーズや歩き方、羽の色に焦点を当てて審査が行われるという。
これらの小さなアスリートは、大会に出るために大切に飼育されているが、攻撃的な性格ではないため取り扱いが簡単で、通常の鶏の餌代しか消費しないため、素晴らしいペットとしても好評のようだ。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:世界最小ながら筋肉マッチョ、マレーシア原産の特徴的な外観を持つ鶏「セラマ」 https://karapaia.com/archives/52302076.html
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