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あのエジソンが最も恐れたという天才発明家、ニコラ・テスラだが、彼が100年前に発明した装置は、これまで考えられていた以上に高性能で、現代でも通用する性能が秘められていることが判明したそうだ。
その装置は「テスラバルブ」と知られているものだ(テスラ自身は弁導管と呼んでいた)。
涙の粒のような形のループをいくつも連ねたような構造で、可動パーツを利用することなく流体の逆流を防ぎ、流れを一方向に導くことができる。
『Nature Communications』(5月17日付)に掲載された研究では、一連の実験によって現代でも利用価値があるテスラバルブの性能を確認している。
【乱流が逆流を防ぐ「テスラバルブ」】
今回判明したのは、「テスラバルブ」が流速に応じてまるでスイッチが入るかのように機能するということだ。
流れがゆっくりなときは、どちらの方向にも流れることができる。しかし一定の流速を超えると突然機能し始め、流体は一方向にしか流れなくなる。
そうなる理由は、液体が逆流しようとすると乱流が発生し、まるでバルブに”栓”でもするかのように流れを阻んでしまうからだ。
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テスラバルブに青と緑に色づけた水を速度を変えて逆方向に流す実験。流体の速度が上がるほど乱流となって流体は1方向にしか流れなくなる。 Credit:New York University credit:それだけではない。実験では、逆流防止効果はこれまで知られていたよりもずっと遅い流れで発揮されることが確認されている。一般的なパイプに比べて、20分の1の流速で乱流が発生し、逆流を防いでくれるのだという。
さらに流れを一定ではなく変動させてみると、テスラバルブがそれを滑らかな流れに変換してくれることも明らかになった。
これはちょうどAC/DCコンバーターが交流電流を直流に変換するのと同じような感じだ。
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テスラバルブ Tesla Valve | The complete physics【今日でも通用する性能】
米ニューヨーク大学クーラント数理科学研究所のレイフ・リストロフ准教授の考えでは、こうした電流の挙動こそが、テスラが思い描いていたイメージなのだろうという。
実際、テスラは「電気の魔術師」の異名を持ち、その業績で一番有名なのは交流電力システムや交流モーターだ。
テスラバルブの流体制御性能なら、今日でも逆止弁の代替パーツとして利用できるだろうとのこと。
従来の逆止弁には可動パーツが使われており、徐々に摩耗してしまうという欠点がある。テスラバルブならそうした心配はない。
また混合効率も高い。エンジンのような機械の振動を抑制し、燃料・冷却剤・潤滑剤の流れを制御するうえで有用かもしれないそうだ。
References:Scientists Explore Tesla Roads Not Taken – And Find Potential New Utility in 100-Year-Old Invention/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:天才発明家ニコラ・テスラが100年前に発明した逆流防止バルブ。現代に通用する性能が秘められていることが判明 https://karapaia.com/archives/52302234.html
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