宇宙規模の大惨事を回避するため、地球外文明との条約が必要とハーバード大学の物理学者

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 人類がつくり出した恐ろしい兵器の1つに核兵器があるが、だが宇宙のスケールでみれば、それ以上に恐ろしいものがあるかもしれない。それは必ずしも兵器ではないが、なんの前触れもなく地球を滅ぼしてしまう可能性がある。


 ハーバード大学の高名な理論物理学者アヴィ・ローブ氏は、そんな最悪の事態を回避するために、地球外文明を持つ惑星と、銀河間条約を締結する必要が出てくるだろうと『American Scientific』で述べている。
【高度な地球外文明がプランク加速器を開発したら?】

 原子核や素粒子を研究するには、「加速器」で粒子を光速近くまで加速・衝突させて、その挙動を調べる。もしも粒子を衝突させて「プランクエネルギー」(プランク単位系で記述されるエネルギー)を発生させられるくらい高性能な加速器があったとしたらどうなるだろうか?

 それは容易なことではない。既存の技術で実現しようと思ったら、全長1万光年もの加速器が必要になってしまう。だが超高度な技術を有する地球外文明ならば、彼らの惑星系に収まるくらいまで小型化し、実用レベルのものを開発できるかもしれない。

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【宇宙に危機をもたらすダークエネルギーの衝撃波】

 ローブ氏によると、粒子がプランクエネルギーで衝突すると、真空に局地的な低エネルギー状態のトンネルが出現するのだという。


 宇宙は真空だが、それは完全な無ということではなく、ある程度のダークエネルギー(現代宇宙論および天文学において、宇宙全体に浸透し、宇宙の拡張を加速していると考えられる仮説上のエネルギー)で満たされているとされる。

 そのダークエネルギーが内部で燃えて、体積の増大によるエネルギーが表面張力を超えれば、石鹸のそれにも似た巨大な泡がつくられる。それは爆薬が衝撃波をともないながら爆発的に燃焼するのとそっくりだ。

 仮に全ダークエネルギーが熱に変換されたとすると、温度は絶対零度よりも30度高くなる。これはビッグバンの名残である「宇宙マイクロ波背景放射」よりも10倍熱く、エネルギー密度は1万倍高い。

 そんなエネルギーが宇宙へ向けて光速で放たれる。
それが通過したところは、すべてが焼き払われる。

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【地球外文明と銀河間条約「プランク加速器条約」の締結が必要】

 仮にそれが地球へ向けて放出されたとしたら困ったことになる。光速で飛来するので、事前に警告を受けることができないのだ。

 どんな通信手段を用いても絶対に間に合わない。救いがあるとすれば、私たちはその衝突すら知ることなく死んでしまうことだろうか。

 そんな災厄を防ぐためにローブ氏が提案するのが、1963年の核実験禁止条約をモデルとした銀河間条約「プランク加速器条約」だ。
宇宙のどこかにあるだろう高度文明が危険な加速器実験を行うことを規制することで、悲惨な結果を未然に防ぐのである。

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 なお長期的には、この条約を締結する必要があるのは、地球が所属する天の川銀河とその隣のアンドロメダ銀河の文明だけになるだろうという。

 なぜなら宇宙が膨張しているために、それ以外の銀河は最終的に光よりも速く遠ざかっていくことになるからだ。

 なおローブ氏は地球外知的生命体(異星人)は存在すると考える科学者で、かつて地球外文明の宇宙船が太陽系を訪問したことがあるとも主張している。

References:How to Avoid a Cosmic Catastrophe - Scientific American/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:宇宙規模の大惨事を回避するため、地球外文明との条約が必要とハーバード大学の物理学者 https://karapaia.com/archives/52302461.html