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不老長寿は人類の夢であり希望である。様々な研究が進められている中、イスラエル、バル=イラン大学の研究グループが、あるタンパク質を使ってマウスの平均寿命を23%も延ばすことに成功したそうだ。
将来的には人間の寿命を延ばせる可能性もあるという。
【人間に例えると平均寿命が120歳に】
『Nature Communications』(5月28日付)に掲載された研究によると、その若返りのタンパク質は「SIRT6」という。
このたんぱく質は通常歳をとるほどに減っていってしまうが、マウスの遺伝子を改変して増やしてやると、寿命が最大30%、平均で23%も延びたのだ。それだけでなく、より若々しくなり、がんにもなりにくくなった。
「寿命の変化は有意なもので、人間で言えば、一気に平均寿命が120歳になったようなものです」と研究グループのハイム・コーヘン教授は語る。
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【性別関係なく寿命を延ばすことに成功】
コーヘン教授は2012年の段階ですでに、SIRT6タンパク質を使ってマウスの寿命を延ばすことに成功していた。しかし当時、オスの平均寿命は15%延びたが、なぜかメスに対しては効果が発揮されなかった。
今回の最新の研究では、オスだけでなく、メスの寿命も延ばすことに成功している。しかも以前よりも効果的で、オスなら30%、過去には効果がなかったメスでも15%長く生きられるようになった。
一定期間エサを与えないと、マウスの体は脂肪や乳酸からエネルギーをつくろうとするが、歳を重ねたマウスはこの能力が徐々に衰えてくる。
ところが歳をとっていても体の中にSIRT6タンパク質がたっぷりとあるマウスの場合、若い頃と変わらずにエネルギーをつくることができるという。
それだけでなく体に蓄積するコレステロールが少なく、がんの発症率が低く、さらに速く走ることまでできたそうだ。
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【数年後には人間に応用できる可能性】
今のところ、SIRT6タンパク質で人間の寿命を延ばすことはできない。対象がマウスなら遺伝子を改変してやればいいが、人体となるとそうもいかないからだ。
この成果を人間に応用するには、SIRT6タンパク質を増加させる薬を開発しなければならない。コーヘン教授が今取り組んでいるのがそれで、2、3年後には成功するかもしれないとのことだ。
ちなみに最近、人間の寿命の限界は120~150歳と結論づけた研究が発表されているが、こうしたアンチエイジング技術は、生物の限界を突破する切り札になるのだろうか?
References:Israeli scientists extend mice's lives by 23%, say method may work on humans | The Times of Israel/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:若返りのタンパク質でマウスの寿命を23%延ばすことに成功。数年後には人間に応用できる可能性 https://karapaia.com/archives/52302759.html











