
ちょっと目を閉じて子供の頃を振り返ってみてほしい。あなたが思い出せる一番古い記憶は何歳くらいのものだろうか?
私だとちょうど弟が生まれたくらいの時期だ。
アルバムの写真を見てもあまりピンとこないのだが、新しい研究によると、人は2歳半頃のときに起こった出来事が、最初の記憶である可能性が高いのだそうだ。
もちろん個人差はあるだろうが、ほとんどの場合思い出せないだけで、2歳半くらいの時の記憶はきちんと引き出しにしまわれているという。
【人の一番古い記憶は2歳半頃】
これまでの研究では、人間の長期記憶が形成されるのは3歳半頃からであるとされてきた。
しかし既存のレビューを含む21年分のデータを分析した新しい研究によると、実際にはさらに1年古く、2歳半頃の記憶が一番古いものであることが判明したそうだ。
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【多くの人は最初の記憶の時期を勘違いしている】
『Memory』(5月6日付)に掲載された研究によれば、人は記憶している出来事が起きた時期を勘違いしているらしい。
「一番古い記憶は、たった1つの固定された記憶というよりは動く標的のようなものです」と、カナダ、ニューファンドランド・メモリアル大学のキャロル・ピーターソン博士は語る。
「ですから、一番古い記憶として回答されたものは、記憶が形成される前と後の境界、つまり記憶の始まりの転換点というわけではありません」
今回の研究では、1999年から集められてきた子供の記憶喪失に関するデータ(697人分の記憶)を扱った彼女自身による研究10本のレビューを通じて、もっとも古い記憶が形成された時期について分析されている。
被験者によって回答された一番古い記憶の時期を親に確認したところ、じつは本人はそれが起きた時期を勘違いしていることが明らかになったとのこと。
たとえば、最初の記憶の出来事から2年後あるいは8年後に調査をした時点で、被験者の子供はまったく同じ記憶を覚えていた。
ただし8年が経過していた場合、その記憶が起きた時期を実際よりも後になって起きたことと思い込んでいたのだ。
つまり成長すると、古い記憶がより最近のものと感じられているらしかった。
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【遠い記憶ほど近く感じる、記憶の望遠鏡効果】
ピーターソン博士の考えでは、これは「望遠鏡効果」によるもであるという。
昔の記憶を振り返るのは望遠鏡のレンズを通して見るようなものだ。そのため遠く離れた記憶ほど、より近くのものとして感じられる。
そして今回の研究からは、一番古い記憶は実際よりも1年新しい記憶として覚えられていたことがわかっている。
つまり3歳半のときの記憶として思い出されていたものは、じつは2歳半のときの体験だったのだ。ただし、こうした望遠鏡効果は4歳以降の記憶になると生じなくなるとのことだ。
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【あなたのその記憶はいつ頃のもの?】
ピーターソン博士によると、人は自分で思うよりもずっと昔のことをたくさん覚えているのだそうだ。
子供の頃を振り返ってふと思い出したことがあれば、ご両親にそれがいつ頃のことなのか訊いてみてはどうだろう。それは意外と古い記憶なのかもしれない。
ただしそれは2歳半までの話だ。2018年のイギリスの研究によると、2歳以前の記憶を覚えていることはほぼ不可能で、脳が記憶を形成する仕組みから考えると、その記憶は偽物であり、作られた記憶である可能性が高いとのことだ。
Top image:photo by Pixabay /References:Earliest Memories Can Start From the Age of Two-and-a-Half - Neuroscience News / Your first memory is probably older than you think/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:思っているより古かった!人間の最初の記憶は2歳半頃であるとする研究結果 https://karapaia.com/archives/52303176.html
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