アメリカのほとんどの州は、大学よりも刑務所の方が多い

 アメリカはとにかく囚人が多い。去年発表された調査結果によると、アメリカのは全世界の刑務所の収監者の5分の1を占めていることが明らかとなった。
それは現在も変わらず、1年間に約120万人が刑務所に収監されているという。

 事実、アメリカでは、多くの州が大学の数より刑務所の数の方が多いというデータも明らかになっている。

 過去の研究からも、高度教育を受けていない人と投獄率との相関関係が示唆されているだけに、このことは、多くの懸念を引き起こしているようだ。

【大学の数よりも刑務所の数が多いアメリカ】
 最近、アメリカの教育支援サイト『Studee』がまとめたデータが発表された。

 それによると、アメリカではほとんどの州で大学の数よりも刑務所の数が多く、その比率は全体の州の75%という高さであることがわかったという。
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 刑務所の数が大学の数よりも多いことは、大学に入る人の数よりも投獄される犯罪者数が高い可能性もあるということだ。

 データでは、リストの最下位はワイオミング州だったようだ。大学の数と比較して、ワイオミング州の刑務所数は2700%も多い。

 同州では、大学が州に1つしかないが、刑務所数は28か所もあるのだ。

 次のミシシッピ州では、18の大学数に対して刑務所は92とこちらも比率は411%。アラスカ州では大学が6つあるが刑務所は27もあるといった状況だ。

 州全体で最も刑務所が多かったのはテキサス州で、刑務所が313か所にあるが、大学は144とそれなりに多い。

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 一方、マサチューセッツ州は国内で最も優れた教育機関を持つ州の1つだが、それでも88の大学数に対して、刑務所数は107も存在しているという。

 アリゾナ州では、刑務所と大学はそれぞれ36あり、カリフォルニア州においては、140の刑務所に対して大学数は280と、学生の選択肢が豊富だ。

 比率的に刑務所が最も少ない州はニュージャージー州で、28の刑務所に対して大学の数は64だったそうだ。【教育を受けた市民のレベルが上がると投獄率が低下】
 Studeeは、調査の中で国勢調査の公式教育達成データと国立矯正研究所の投獄率を調べ、各州に投獄された人の数と学位レベル以上の教育を受けた人の数との間に相関関係があるかどうかを確認した。

 その結果、ほとんどの州で、学位レベルまでの教育率が低いことは投獄率が高いことと相関していることが明らかになった。
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 過去の研究でも、高等教育を受けなかった人とより高い割合での投獄率との相関関係が明らかにされている。

 2016年のRANDCorporationの調査によると、刑期を務めながら何らかの教育プログラムに参加した囚人は、刑務所に戻る可能性が43%低くなったという。

 これに加え、ウエブサイト『American Progress』は、大学のプログラムを備えた刑務所は、投獄された個人の間で暴力が少ないことが判明していると記述している。

 これらのことからも、Studeeでは「高い教育を受けることは、人々が自身を犯罪者にするのを防ぐだけでなく、誰かが再犯する可能性を減らすことにも繋がる」と示唆している。

 つまり、全国に更に多くの大学が建設された場合、教育を受けた市民のレベルが上がるにつれて投獄率が低下する可能性があるのだ。

 なお、アメリカは世界の他のどの国と比べても多くの刑務所が存在し、囚人数も多く投獄率も高いが、一方で世界で最も優れた教育システムがある国の1つであることも忘れてはならないだろう。

Top image:photo by Pixabay /written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:アメリカのほとんどの州は、大学よりも刑務所の方が多い https://karapaia.com/archives/52303288.html
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