【RIP】世界で最も有名なライオン「スカーフェイス」が14歳で天命を全うする(ケニア)
 6月11日、アフリカ・ケニアのマサイマラ国立保護区で、長きにわたりプライド(ライオンの群れ)の王座に君臨し、世界で最も有名なライオンと呼ばれる「スカーフェイス」が、14歳の生涯を閉じた。

 死因は、野生のライオンには珍しい自然死だったという。誇り高く雄大なスカーフェイスの姿は、最期には痩せ細り弱っていたが、自然に生まれたスカーフェイスは、自然の中で自由に生き続け、そして自然へと還って行った。

右目に傷を持つライオン「スカーフェイス」が14歳で旅立つ 大きな長いたてがみと、右目に深い傷を持ち、ケニアのマサイマラ国立保護区で長きにわたりプライドの王座に君臨し続け、世界で最も有名なライオンとして知られていた「スカーフェイス」が、この世を去った。

 スカーフェイスの最期の瞬間が捉えられた映像が公開されている。

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R.I.P ScarFace - The most famous Africa Lion in his last minutes

 静かに穏やかに、そして孤独だが最後まで気高く、自然へと還っていくスカーフェイスの姿には、ある種の神々しささえ感じる。

 スカーフェイスが生涯を過ごしたマサイマラ国立保護区のFacebookには、彼の最期の姿と共に、偉大な王者の死を悼むメッセージがシェアされた。

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6月11日の現地時間午後1時頃、スカーフェイスはハイエナや観光客が乗った車などに邪魔されることなく、静かに最期を迎え、旅立ちました。

私たち保護区の職員が見守る中、スカーフェイスは彼は穏やかな環境で息を引きとりました。

マサイマラの保護区は、またも偉大で象徴的な1頭を失いましたが、今後もスカーフェイスの伝説が永遠に生き続けていくことを、私たちは願っています。
[画像を見る] 多くの人からスカーフェイスの死を悼む声 スカーフェイスの死の一報は、世界中から大きな反響を呼んだ。  美しく気高い野獣の存在は大きく、その死は多くの人々に衝撃を与えたようだ。

 だが、スカーフェイスは、生まれた国で最後まで野生として、自由に生き続けた。

 野生のライオンの平均寿命は10年~14年と言われている。スカーフェイスは大往生といえるだろう。

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 若かりし頃の戦いの証か、右目についたその深い傷は、プライドの中では特にその存在感を際立たせ、大きなたてがみとあわせて、それはスカーフェイスの魅力的な特徴となっていた。

 専門家によると、野生のライオンが平和的かつ自然に命尽きることは非常に稀だという。

 通常、ほとんどの雄ライオンはプライドの王として2,3年その座を維持することが可能だが、その後はライバル争いが起こり、運が悪ければライバルに座を奪われるだけでなく命も奪われることも少なくない。

 また、戦いによる怪我で弱ったり、ハイエナに襲われたりするケースも多い。

 そんな厳しい自然の状況でありながら、スカーフェイスはマサイマラ国立保護区で最も長くプライドをまとめ続けた。

 特徴的な外観が多くのメスライオンを惹きつけたこと、そして王者にふさわしい風格を備えていたことがその理由だと推測されている。[画像を見る]  野生動物界でその名が知られていたスカーフェイスは、世界中のドキュメンタリー番組で取り上げられ、ファンも多かった。

 SNSでは、スカーフェイスのアカウントも立ち上げられたほどの人気で、これまでの14年間、スカーフェイスは多くの写真家を魅了し続けた。四銃士の1頭としても知られたスカーフェイス マサイマラ国立保護区では、スカーフェイスは四銃士の1頭としてプライドを守る王者として知られていた。[画像を見る]  スカーフェイスが亡くなった今、兄弟ライオン2頭も他界してしまったため、群れには1頭の雄ライオンしかいないそうだ。

 いずれ、彼のいたプライドは若い他のライオンたちに奪われてしまうのかもしれない。しかし、それも自然の摂理だ。[画像を見る]  実は、スカーフェイスが最後の時を迎えようとしている数日前、ある野生生物写真家が保護区で最も凶暴な若い雄ライオンのトリオとスカーフェイスが遭遇するという出来事を目撃したという。

 弱り果てて力のないスカーフェイスは、それでも最後の力を振り絞るかのように、3頭の雄ライオンに向かって咆えた。

 しかし若い3頭は、老いたライオンの死期を悟っているのか、攻撃することもなく、まるで敬意を示しているかのように、スカーフェイスに歯向かう素振りを一切見せなかったそうだ。

 骨と皮だけになった状態で、弱々しく歩き去って行くスカーフェイスを、誰も追う者はいなかった。

 そして、スカーフェイスは14年の生涯を閉じた。

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Farewell Scarface R.I.P.

 彼は、マサイマラの伝説のライオンとして、これからも多くの人々の心に生き続けていくことだろう。[画像を見る]  スカーフェイスよ、どうか安らかに。
Top image:Africa Stories / References:The Guardian / written by Scarlet / edited by parumo

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